とうめいの季節
01.素朴なきみと素朴な遊び
縁側に、瑞(みず)と穂積(ほづみ)が並んで座っている。夏の盛りの山を見つめながら、何やら話しこんでいた。麦茶運んできた伊吹(いぶき)は、足をとめる。
(なにしてんのかなあ)
こっそり聞き耳をたてる伊吹の耳に、二人の声が聞こえてきた。この二人は、ある意味仕事をする上のパートナーなのだが、仕事以外では一体何を話しているのか興味があった。
「しゃぶしゃぶ」
「ぶりのてりやき」
「きりたんぽなべ」
「べっこうあめ」
これ・・・もしかして、しりとり?
「べっこうあめはごちそうか?穂積よ」
「無論だ。わたしが子どもの頃には、ごちそうだったぞ」
どうやらごちそう限定のしりとりのようだ。どちらかがやろうと言い出したのか、随分かわいい遊びに興じているものだ、と伊吹はこっそり笑う。
「まあいいケド」
「瑞、こ、だぞ」
「こ、こ、こ・・・」
瑞が顎に手をあてて考え込んでいる。
(あるだろいっぱい・・・)
内心でつっこみを入れつつ伊吹は瑞の答えを待つ。
「瑞、降参か?」
「するか、ちょっと待て!こ、こ、こ・・・だろ?こ、こ、こ・・・こげこげの、ベーコン・・・」
穂積が噴き出した。
「こげこげのベーコン?」
間抜けなペットでも見るようなほんわかした目の穂積に、真っ赤になった瑞が食って掛かる。
「ほ、穂積が急かしたからだろ!違うのにする!こ、こ、こ、こ、コーヒーゼリー・・・」
「あはっ!!」
伊吹もたまらず噴出した。庶民的なやつだ。
「笑うなそこっ!じゃあ穂積、こ、言ってみろよ!」
「根菜の炊き込みご飯」
「ん、ついてるじゃねえか!終わっただろバカタレ!」
「あっ」
夏の午後、神末家は今日も平和です。
縁側に、瑞(みず)と穂積(ほづみ)が並んで座っている。夏の盛りの山を見つめながら、何やら話しこんでいた。麦茶運んできた伊吹(いぶき)は、足をとめる。
(なにしてんのかなあ)
こっそり聞き耳をたてる伊吹の耳に、二人の声が聞こえてきた。この二人は、ある意味仕事をする上のパートナーなのだが、仕事以外では一体何を話しているのか興味があった。
「しゃぶしゃぶ」
「ぶりのてりやき」
「きりたんぽなべ」
「べっこうあめ」
これ・・・もしかして、しりとり?
「べっこうあめはごちそうか?穂積よ」
「無論だ。わたしが子どもの頃には、ごちそうだったぞ」
どうやらごちそう限定のしりとりのようだ。どちらかがやろうと言い出したのか、随分かわいい遊びに興じているものだ、と伊吹はこっそり笑う。
「まあいいケド」
「瑞、こ、だぞ」
「こ、こ、こ・・・」
瑞が顎に手をあてて考え込んでいる。
(あるだろいっぱい・・・)
内心でつっこみを入れつつ伊吹は瑞の答えを待つ。
「瑞、降参か?」
「するか、ちょっと待て!こ、こ、こ・・・だろ?こ、こ、こ・・・こげこげの、ベーコン・・・」
穂積が噴き出した。
「こげこげのベーコン?」
間抜けなペットでも見るようなほんわかした目の穂積に、真っ赤になった瑞が食って掛かる。
「ほ、穂積が急かしたからだろ!違うのにする!こ、こ、こ、こ、コーヒーゼリー・・・」
「あはっ!!」
伊吹もたまらず噴出した。庶民的なやつだ。
「笑うなそこっ!じゃあ穂積、こ、言ってみろよ!」
「根菜の炊き込みご飯」
「ん、ついてるじゃねえか!終わっただろバカタレ!」
「あっ」
夏の午後、神末家は今日も平和です。