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正常な世界にて

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 I探しを諦めた私と坂本君は、どこかで休むことにした。まあ、坂本君が話を聞かせろと言ってくるからでもあるんだけどね。
 とはいえ、さすがにクリスマスイブなので、コメダなどは満員御礼の状態だった……。仕方がないので、桜通り口二階の広場っぽい場所へ行き、植栽のフチに並んで座った。同じ考えのカップルが周囲にたくさんいたので、少し落ち着かないね……。

「それで、あいつとどんな話をしたのさ?」
坂本君が、少しムスッとした感じで聞いてきた。別に私は、Iと楽しくお喋りしてたわけじゃない。
「あの仕事場や高山さんのことだよ。かなりヤバい話だったんだけど、それでも聞きたい?」
「聞きたい! 聞きたい!」
坂本君は本当に素直だね。私も素直に話してあげることにしよう。


「……その話がマジだとすれば、今に大変なことになるな」
私の話を聞いた坂本君は、すぐにそう言った。深刻げな表情を浮かべている。
「でも、そう簡単に高山さんから離れられるとは思えないんだよね……」
「まあ、友達であることは確かだしな。かといって、うまく説得できるとは思えない。高山、すごく頭いいし」
「でも話してみるしかないとないと思う。無視したりするのは可哀想だし……」
「か、可哀想!? 高山が!?」
坂本君は、苦笑いを浮かべながら言った。彼女と一体何があったんだろうか……。
「……ちょっといい? 高山は精神病質で、つまりサイコパスなんだよ? 高山がヤバい奴だってことは、マジのマジな話だ!」
熱弁を奮う坂本君。彼が高山さんを恐れていることが、よくわかる迫力だ……。
「イジメと思われても仕方がないけど、あいつの言う通り、高山から離れるしかないよ!」
「でも」
正直不安だ……。
「ボクが森村を守るよ! 高山ほどじゃないけど、手帳とかのことはよく知ってるし」
こんなときでなければ、これはプロポーズだろうね。
「……でも、坂本君。私のことを信頼してくれてるの? Iさんは、あなたはアスペルガーの症状もあると言っていたけど、これは本当?」
私に嫌われると思って、マイナスイメージな症状を黙っていたのではないだろうか?

作品名:正常な世界にて 作家名:やまさん