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正常な世界にて

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 発砲と装填を繰り返し、残り4発を撃ち切る。自分でも驚くほどスムーズに、最後まで発砲できた。スライドの動作も、段々軽くなっていると感じている。
 とはいえ、凄腕スナイパーのようにはいかなかった。4発中1発が、兵士一人の横っ腹に命中しただけだ。
 ……いや、1発当てられただけでも上出来だといえる。けど、激痛に苦しむ兵士を見ていると、あまり素直には喜べない。

 坂本君はというと、私の援護に浮かれた調子で、自動小銃による発砲を始めていた。気分はきっと、アクション映画の主人公だろうね。
 とはいえ、彼も銃の扱いは素人で、ほとんどの銃弾が命中することなく、敵の横を通り過ぎていく。
 しかし、思わぬ反撃だったらしく、兵士たちはさらに狼狽え、地面に伏せる者もいる。そんな兵士たちを尻目に、最後の避難者が公園の外へ消えていった。私と坂本君が掲げた目的は、これで達成できたわけだ。ここからさっさとおさらばだね。
 ところが坂本君は、漁りに戻ってしまっている。少しでも多くの弾を確保してくれるのは有難いけど、ライフルは弾切れだ。予備の弾はあるけど、それをライフルに入れるやり方、つまりリロードは、ぼんやりとしか覚えられていない。
 私の援護射撃が中断してから、既に1分が経った。兵士たちがじきに、警戒態勢を解くだろう。そうなれば間違いなく、現在進行形で漁りを満喫中の坂本君は、兵士たちの一斉射撃をお見舞いされる……。

 私は記憶を頼りに、ライフルをリロードしてみる。弾を1発ずつ入れていくやり方だった事ぐらいは覚えていた。確か、スコープの下に入れる穴が……。あった!
 ポケットから弾1発を取り出し、説明書を思い出しながら、穴に差し込んでみる。
 カチャリという軽い音が耳に響く。やった! 私の記憶力万歳! ……いやいや、喜ぶのは早い。1発だけでは心もとない。一杯まで入れて、撃ちまくろう!
 私はポケットから取り出した弾を、次々にライフルに入れていく。と思ったら、思わず急いだせいで、弾を入れ損なってしまった。銃内部のバネに弾き飛ばされていく弾……。いけない、いけない。


 私のライフルから、再び銃弾が放たれる。発砲があと数秒遅ければ、落ち着きを取り戻した兵士たちによって、坂本君は穴だらけにされていたはずだ。ちなみに、坂本君は私の苦労など素知らぬ様子で、漁り続けていた……。

作品名:正常な世界にて 作家名:やまさん