正常な世界にて
素晴らしい彼女のおかげで、発達障害を克服できるんじゃないかとすら思えてくる。けどあまり甘えるにいかない。自分なりに努力する気持ちを忘れずに持っておかなきゃ。
「それじゃあね!」
「……あっ、またね!」
考え事してたせいで、彼女が降りる駅に着いたことに気づくのに遅れた。彼女の姿が消えた後、ほっと一息つく私。深呼吸のつもりだけど、大きなため息に聞こえたかもね。
「そうだ、薬飲まなくちゃ」
危うく飲み忘れるところだった……。
私はカバンを漁り、薬を入れた透明チャック袋とお茶のペットボトルを取り出す。この際、電車内でも構わない。
そして、ストラテラというカプセル剤が体内へ流れこむのを、生々しく実感する私。薬の活躍にこれほど期待したのは初めてかも。