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正常な世界にて

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「いやいや! 俺らからしたら同じだよ! そこで死んでる奴らも、そんな風なことを言いまくってたが、同じように扱ってやったさ!」
状況的に理解できたことだけど、やっぱりこの夫婦が、私の両親を殺したんだ……。エレベーターで上がる途中に見かけたのも、彼らの仕業だろう。
「ふざけんな!!」
私は思わず叫んだ。今は悲しみよりも怒りの感情のほうが上だ。
「おおっ、怖い怖い」
「フン、やっぱり殺したほうが良さそうだな。もちろん、仲良く二人ともだ」
わざとらしく怖がる妻と、冷笑する夫。坂本君は、手首を軽く動かし、ピストルを構え直した。武装した夫婦に対して、強い抑止力を見せつけるためだと思う。

「おいおい! 一体どうしたん!?」
「この階はもう済んだんじゃなかった?」
見た目20代前半の男二人が、夫婦の後ろ側へやってきた。マンションの住民でも野次馬でもなく、この夫婦の仲間らしい。二人とも、深夜のドンキホーテにいそうなチャラい風貌だ。手に持つ鉄パイプやレンチがよく似合っている。
 これで敵は四人になったわけだけど、坂本君は慌てる様子を見せてない。どうやら、ピストルにはまだ4発以上入ってるようだ。
「なになに!? 親父さん、あんな奴らにてこずらされてんすか?」
「あんなのおもちゃに決まってますって!」
今来たばかりの男二人が口々に言った。見た目通りの軽く、無責任な口調だね。サボったのかもしれないけど、例のIQ検査の結果を拝読したい……。
「いやいや、もし本物だったらな……」
「そ、そうよ」
さっきの威勢の良さは、ただの見栄張りだったんだろうか? 二人の子供の敵討ちというか、八つ当たりで私たちを殺すつもりだったくせにだ。私の両親もそういうところは多少あったけど、結局は自分の身が一番大事なんだね……。

「はい、突撃!! 突撃〜!!」
威勢だけはいいチャラ男に、背中を物理的に強く押される形で、夫が私たちのほうへ歩き出した。突撃は通常、猛ダッシュをかけるはずだけど、その夫は早歩きの状態だ。やっぱり銃は怖いもんね。
「止まれ!! 止まれよ!!」
坂本君が、銃口を夫の顔面に向ける。撃てばヘッドショットも間違いない。
 だが、夫の突撃(早歩き)は止まらない……。自分が男の年長者であるというメンツが気になるんだろう。妻の視線もあるし。とはいえ、ここで立ち止まったら、確かに情けない姿になってしまう……。

作品名:正常な世界にて 作家名:やまさん