正常な世界にて
一通りの応急措置が済む。レジャーシートだけど、坂本ママはゆっくり寝転ぶ事ができた。ケガをした彼女の右腕には、包帯がしっかりと巻かれている。
「完全に血が止まって落ち着くまで、あと1時間ぐらいかかるから、ここで待っていなさい」
医者はそう言うと、次のケガ人の治療に移った。ウォッカをガーゼに染みこませている。何人分かでまだ使ってもらえそうだね。
「ありがとうございます!」
丁寧にお礼を言った坂本君。医者は「はいはい」とだけ返した。
私たちは、ここでようやく一息を入れられた。とはいえ、リセット後の世界や日本、私たちの人生や生活、この後どうするか? 考えなくちゃいけない課題が積み上がっていく……。