小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

正常な世界にて

INDEX|146ページ/381ページ|

次のページ前のページ
 


 事の成り行きに身を任せるのが、現実的には良いのだと思う。おそらく、Iが以前教えてくれた「リセット」という事態が、これからいつか起こるんだろうね。この話の裏付けを、高山さんにしてみても大丈夫だろうけど。ただ、あのときの彼女の話しぶりから、変化が激しい事態が起こることは確実だ。
 改めて、「リセット」という言葉自体を考えてみる。スマホで検索してみると、パソコンの再起動を指す言葉だった。再起動、世界を再起動する? すると、フランス革命みたいな出来事が、現代社会で起きるという話になるね。
 私の頭に、フランス革命の絵画が思い浮かぶ。激しい戦、ギロチン、流血。ネガティブなイメージばかり、頭に浮かぶから、ポジティブなイメージも浮かべてみよう。新たな一歩、時代の変化、夜明け。先進的な明日が、私たちに待っているという事だろうか。
「また何か考えてるの?」
いつの間にか、坂本君がやって来ていた。考え事中に声をかけられるのはいいものではないけど、彼にも聞いてみよう。
「……リセット? ゲーム機についてるボタンの事か?」
聞く相手を間違えたらしいね……。私は、『世界の再起動』という言葉から、何が思い浮かぶのかを、改めて彼に聞く。
「徳政令、明治維新……。日本史の単語が思い浮かぶな」
意外と彼は勉強をしているようだ。
「今のうちにマンションとか高いものを買っておこうかな? リセットが起きれば、借金はチャラだろうからね〜」
またまた余計な発言を……。
 とはいえ、彼の言う通りだ。借金が事実上チャラになる事態が起こる事も十分にありえる話だ。まあ私は、今借金をしまくって、堂々と踏み倒すつもりはないけどね。
 リセットについて、詳しく話そうと思ったけど、そこで昼休み終了のチャイムが鳴った。部活とかじゃなければ、帰りにまた話せるから、そこで話をやめる。

 チャイムが鳴ってしばらくすると、数学の先生が教室にやってきた。最近学んでいる数学は、大学入試レベルの複雑な方程式だ。
 今は高校2年生の3学期。大学受験のため、目の前の勉強に集中しなくちゃいけない時期だ。集中力の薬『コンサータ』を飲んでいるけど、頑張って授業を受けないとね。
 とはいえ、教科書とノートを机上に用意していなかった。カバンか机の中だ。本当は授業前に用意しておくのが、当然の姿勢だろうけどね。

作品名:正常な世界にて 作家名:やまさん