連載小説「六連星(むつらぼし)」第71話~75話
連載小説「六連星(むつらぼし)」第73話
「4月19日の記念日」
俊彦の車で救急病院へ搬送された山本は、そのまま救急医の杉原の手で、
3階に有る高度医療集中治療室へ運ばれた。
高度医療集中治療室は、ICUとも呼ばれている。
救急外来などで搬送された重症の患者や、入院中に容態が悪化した患者などに対して、24時間体制の集中治療をおこなう部屋だ。
「大丈夫かしら・・・・山本さんは」
アパートへ戻った響が、入院に必要な身の回り品を整え病院へ
戻ってきた時は、すでにとっぷりと陽が暮れていた。
3階の廊下で、俊彦と杉原医師が立ち話をしている。
「金髪の英治が入院したときは、大変、お世話になりました」と、
響が深々と頭を下げる。
「やあ、君が響ちゃんか。なるほど、噂は本当だ。
トシのところ女の子が、毎日、着物を着ていて素晴らしいと病院でも評判だ。
なるほどねぇ、じかに見るとさすがに良いもんだな。
可愛い。実に良く似合っている。
山本氏も、看病をしてもらうという甲斐があるというもんだ。
容態が落ち着いたから、明日には一般病棟へ移せるだろう。
ひと安心をしても大丈夫だよ」
作品名:連載小説「六連星(むつらぼし)」第71話~75話 作家名:落合順平