連載小説「六連星(むつらぼし)」第71話~75話
連載小説「六連星(むつらぼし)」第72話
「2004年8月9日 午後3時22分」
日本初の原子力発電という歴史を背負って誕生した美浜原発は、
運転中の数々の事故と、放射能の危険性を長年にわたり隠ぺいし続けてきた。
原子力発電は多くの反対の声を押し切って、当時の政府の国策として
導入された。
原子力をめぐる未成熟な技術環境のせいで、未公表のものも含めて
50年間のあいだに、深刻な事故が何度も発生している。
最大ともいえる事故が、2004年の運転中に発生をした。
事故の詳細は、こうだ。
2004年8月9日、午後3時22分。
営業運転中の美浜原発3号機の2次系配管(直径56センチ) の一部で、
最大で57センチの穴があき、大きな破裂が主配管に生まれる。
破裂した箇所は、タービンを回すために使っている2次冷却水を
蒸気発生器に戻すための復水管の部分だ。
このあたりを通過する2次冷却水は140度以上もある。
蒸気には、10気圧ちかい圧力がかかっている。
作品名:連載小説「六連星(むつらぼし)」第71話~75話 作家名:落合順平