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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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お母さんとの電話~ハルマゲドンが…起こる?!…。~

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上は聖書には何と…と言ったけど、私はお母さんの反応を待っているので、私もお母さん待ちで固まっていた。
なので上が、
『お母さん、お母さん、聞こえていますか?もう一度言いますが、私の記憶ではハルマゲドンはもう起こったことだと記憶しているのですが…。お母さん、聞こえますか?』
とお母さんに問いかけるように言った。
『はい…。』
とやっとこさ出た蚊の鳴くようなか細い声が私の耳に届いた。
やっとこさ聞こえたお母さんに私は、
『お母さん、お母さん、聞いてる?!上が、ハルマゲドンて昔にあった出来事だって。上の言葉も私が言ってるから、同じことを私が言ってるんだけど、お母さんと言い分が違うことに一応驚いてるんだけど…。どうなの?!何か言って。』
と言った。
『…もうすぐハルマゲドンが…起こ・る・のよ…。』
とお母さんはロボットみたいな言い方でそう言った。
それに対して私は、
『お母さん、ということはやっぱり何か喋ってる何かは、神様じゃなくて悪者なんだよ!!宗教の人たちと言い分が違う…と言うか、未来にあるって宗教では言ってるけど、上は過去の出来事として話してる。…どうする?!お母さんどうする?!』
と私は慌てだした。
そんな私の慌てようにお母さんも慌てて、
『あわわわ…、上は、上は、本物よ。その人は神様であってる。その人は神様…。…もう一回言って。上は何て言ったの?!』
とお母さんが少し我に返ったようでそう言った。
なので私はもう一度、
『もう少ししたらハルマゲドンが起こるって宗教では言ってるけど、上は、“すでに起こってますよ。昔にあった出来事ですね。”だって。…お母さん、どうする?!』
と言って私は尋ねた。
お母さんは数秒考えると、
『どうしよう…。』
と言った。
また考えて、
『昔に起こった~…?!どういうことだろう…?!』
と独り言のように言った。
上が、
『聖書に何と書いてあるのか、読んでみると分かるのではないですか?』
と言った。
それに対してお母さんは、
『そこは何度も何度も読んでるから、読み間違えてるはずはないんだけど…。』
と言いながら、お母さんも私も各々で聖書を読んでみた。
私はお母さんほど熱心に読んでいないので、文章を読んで過去形で書かれていることに気付いた。
上は黙って肯いた。
お母さんの感想を待った。
『…読んでみたけど、昔の出来事かは分からなかった。何回も読んでると間違いも見えて来ない…。』
というのがお母さんの感想だった。
『読んでみると全部過去形で書かれてるよ。だから過去にあったことなんじゃないの?!』
と私は言った。
『だからって言って、過去の出来事って言えるわけでもないでしょ。お母さんが習ったのは、過去形で書かれているのは、書かれていることがいずれ起きた時に事実となるためだって聞いてる。だから、ハルマゲドンはまだ起こってないと思う…。でも上は昔にあったことって言うのよねぇ~。』
とお母さんとしては腑に落ちないようだ。
上が私にコソコソと、
“今の部分を読んで何か気付きませんか?”
と言ってきた。
お母さんには言わずに、黙って私は聖書をもう一度読んでみた。
(…ハルマゲドンと呼ばれる場所に集めた…。)
と読むと、上が、
“気付かない?”
と言ってきた。
もう一度読んで…、
『あーーーっ!!お母さん、お母さん、お母さん、ハルマゲドンって場所の名前!!地名かは分からないけど、宗教の人の言い方で例えて言うなら、“東京が起こる”とか“新宿が起こる”とか…。それか、“東京ドームが起こる”とかになるのかなぁ。そういうことを言ってるってことになるよ。言葉としておかしいよ。』
と私は気付いた。
お母さんがもう一度読んでるようだ…。
そして、
『あ゛ーーーっ!!本当だ…書いてある…。』
と悲鳴と共に納得が聞こえた。
『どうして気付かなかったんだろう…。』
と落胆の声も続けて聞こえた。
上が、
『ハルマゲドンが起こったと言う言い方は、言葉としておかしいですね。簡単に言うと、“悪いことをした王たちをハルマゲドンと呼ばれる場所に集めた。”ということになりますね。お母さんのしている宗教では、この話は未来に起こる話というのであれば、それはそれで構いません。私は私の言い分を言ったまでです。』
と説明した。
お母さんの頭と心が困っているようで、
『どうしよう、どうしよう…。宗教の人たちはどうしてこの先にあるって言ってるんだろう。あの人たちのもっと上には組織があってその人たちは神からいろんな言葉を伝えられて、それが宗教のおばちゃんたちに伝わって、そしてお母さんのところまで伝えられてるんだけど、どうして同じ答えじゃないんだろう…。神は何人もいなくて一人だって習ってるから、あなたが話してる神と組織の人たちが話してる神が違うはずないんだけど…。』
とオロオロしながらそう言った。
上が、
『お母さんに聞きますが、私は宗教と言うものを“作りなさい”とは一言も言ったことがないのに、その宗教の組織の方たちは私と話しているということで間違いありませんか?』
と聞いた。
『あ~あ~あ~、…じゃあ組織の人たちは誰と喋ってるの…?!』
とお母さんは言った。
上は、
『そう思ってしまいますよね。でもお母さん、だからと言って私が本物かは見ていないお母さんには分からないはずなので、その組織の人たちは本物の神と話をしているのかもしれませんよ。…少なくとも、私はその方々とお話をしたことはありませんが…。でも遠くからは見ていますよ。』
と言った。
私は二人の会話を聞いて、
『で、お母さん、どっちがあってるの?!どっち?!…多数決で言ったら、断然、宗教のおばちゃんたちだよね?!私どうしたらいい?!』
とお母さんに訴えた。
お母さんは困っている。
『多数決ですか…。多数決だったら私は負けてしまうかもしれませんね。でも私は勝ち負けを争っているわけではありませんよ。』
と上は言う。
どうしよ~?!と私の心が叫ぶ。
今の言葉を聞いてお母さんが、
『分かった…。あなたが話してる方が本物で、宗教の組織の人たちが話してるのは偽物。今、上は“勝ち負けを争ってない”って言ったよねぇ~。宗教の人たちも、“争いはいけません。私たちは争い事はしません。”って言ってるんだけど、お母さん今気付いた。宗教の人たちは勉強をした年数を競い合ってる…。後、勉強を教えた人たちにバプテスマを受けさせた人数も競い合ってる…。これって争いと思わない?!お母さんはそう思う。』
と鋭い声でそう言ってきた。
私は肯きながら、
『確かに、競ってるんならサイズは小さいかもしれないけど、争いの部類になると思う。争い事をしない人はそんなこと考えもしなくて、いろいろ気になってついつい誰かと比較したりして勝ち負けを考えてる人は自然と小さな争い事をしてるんだと思う…。っていうか、おばちゃんたちそんなことで競い合ってるんだね!!っていうか、人のこと言えないわ、私…。そういうことあるわ…。』
と言った。
『まっ、あなたのことはいいとして、お母さんに勉強を教えてる人は、今まで一人もバプテスマを受けさせたことがないからいつも焦ってるの。だからお母さんに早く受けさせたいのよ~。』