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連載小説「六連星(むつらぼし)」第66話~70話

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 お召は、桐生を代表する織物だ。
お召は、身分の高い人の「お召し物」を意味している。
縮緬(ちりめん・表面にちぢれができるように織った布地)や羽二重などの
織り方のことだ。
江戸時代の後期、「お召縮緬」が一世を風靡した。
こうしたことからお召」といえば、「お召縮緬」のことを指すようになった。

 お召の魅力といえばさらりとした手ざわりと、コシのある
しっかりとした地風につきる。
お召を好んだ人物として、第11代将軍の徳川家斉(いえなり)が著名だ。
洒落者として知られる家斉が、特に気に入り「※留柄(とめがら)」にしたお召のひとつに、桐生からの献上品があった。



※「留柄」とは。「お留柄」といい、ある特定の文様を独占して、
他人の使用を許さないようにした柄のことを指す。
江戸時代、将軍家だけでなく各地の大名などもそれぞれ占有する
小紋柄を決め、「留柄」にしていた。


 「桐生織には、七つの製法があります。
 特に桐生を有名にしたものが、独特の風合いを表したお召縮緬です。
 渋い色彩と、落ち着いた風合いが、江戸時代に好まれたものです。
 表面に凹凸ができるように、織りあげた技術のことです。
 これは桐生織を代表する、製法技術のひとつです。
 経糸の密度が、1cmの間に100本以上あるという精細な仕事が、
 独特の肌さわりを生み出してくれます」

 2部式の着物を着た案内嬢が、館内を案内してくれた。
展示をされている着物を指さし、桐生の歴史を説明をしてくれる。


 「なるほど。素晴らしいものばかりですね。
 ところであなたが着用している、2部式の着物はどちらでしょう。
 高価な反物は、とても手が出ません。
 でも2部式の着物なら、なんとか買うことが出来そうです。
 あなたが着ているその2部式の着物も、実によく似合っています。
 やはり大和ナデシコは、着物が一番ですねぇ。
 日本女性にとって着物は、永遠のものだと思います。
 着物には、気品と言うものがありますからねぇ」

 山本に褒められた案内嬢が、『お上手です』と苦笑を浮かべる。
「こちらです」と即売コーナーへ、2人を案内する。


 「二部式の着物は、上着と巻きスカート風に分かれている着物のことです。
 帯を締めなくても簡単に着ることが出来ますので、初心者のかたでも、
 簡単に着ることが出来ます。
 下衣は、巻きスカートのように腰に巻きつけます。
 上衣は作務衣(サムエ)と同じように、二箇所を紐でしばるだけで
 着用できます。
 着物と同じような雰囲気になりますが、これだけですと、
 すこし、ラフな印象になってしまいます。
 そのためこれらの上に、さらに帯や帯揚げ、帯締めなどが出来る
 タイプのものも別に用意されています。
 こちらですと、着物を着ているのと全くかわらない着付けになります。
 着物を着るよりも。簡単という利点が有ります。
 ですので、見た目の上品さを失うこともありません。
 別名を、ツーピース着物とも呼んでいます。
 二部式着物といっても、特に決まった規定などがあるわけではありません。
 上下にわかれている着物のことをさしているのです。
 用途に合わせて、何種類も開発されています」