しらない子
今度はゆみが思い切りイヤミを言いました。俊介は決まり悪そうにしきりに坊主頭を掻いています。
「じゃ、わたし、手伝う。早く終われば一緒に遊べるでしょ」
そういうと久美子はさっさとウサギ小屋のほうへ歩き出しました。
「久美ちゃんたらぁ」
ゆみはしぶしぶです。そうして裕太が職員室からカギを借りてくると、久美子は一人で決めてしまいました。
「わたしと裕太くんが小屋の掃除をするから、みんなは草を取ってきてね」
ウサギ小屋の掃除を終え、少年も交えた六人は柿の木のそばまで戻ってきました。
「ねえ、さっきのまりつき、続きがあるんでしょ?」
少年が言いました。
「うん。十番まであるよ。いろんなつき方でね」
「じゃあ、教えて」
少年にせがまれてゆみはまりをとりました。
「にぃのみやのにーすけさん。二の字がきーらいで……」
片足を挙げて腕に引っかけるような姿でつきます。
「うわぁ、難しそう」
と言いながらも少年はうまくついています。
それを見ていた裕太や俊介も仲間に入りました。
足だけでついたり、スカートのすそをつまんでつくった環の中をくぐらせたりと、だんだん複雑になってきます。バランスがとれないとうまくつけません。
みんな大笑いしながら順番にまりつきを楽しみました。