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月とコンビニ
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箱爪~ハコヅメ~

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●シーン1と同じ場所。主人、お付入り。

主人  んーーーー! ふっふーん! 真っ赤なパンツは勝利の合図! ヴィックトリー!
お付  ……。
主人  ッヘイッ! ブーメランパンツ!
お付  ……。
主人  ッヘイッ! んーーーー! ッヘイッ!
お付  へい。
主人  キャアッチ。
お付  ……。(ぱちぱち)
主人  真っ赤なパンツは勝利の合図!
お付  あいずー。
主人  どうだい、つっきー。彼は元気だったかい?
お付  かわらない。
主人  よし来たならば見よこのパンツ!
お付  ……。
主人  そうともこれは真っ赤なパンツ。さて、つっきー、そうだそうだそうなんだ! 勝負の日がやってきた!
お付  ……。
主人  つーれてきなぁっっ!!
お付  へい。
●扇山入り。お付けにうつ伏せで引きづられてくる。奥行き180横60高さ50くらい
の箱に入れられている。色々叫んでる。
扇山  おい、なんなんだ! 何をしてる!
主人  こんにちは。
扇山  なんなんだこの箱みてぇなのは!
主人  箱だよ、ただのね。
扇山  牛丼クセェ。
主人  牛丼を食べていたんだろう。(お付を見る)
お付  ……(うん。と首を立てにふる)
主人  最近牛丼屋から連れてくることが多いな。
お付  ……(照れ)
主人  照れるな、次は場所を変えるんだ。
扇山  誰か居るのか。
主人  さて会話に戻ろう。
扇山  そうか、おまえ、一連の失踪事件の犯人だな。
主人  仮にそうだとして、君は納得がいくのかな?
扇山  なんだと。
主人  全て同じ事件であると仮定して。疑問は生じないのか。
扇山  ……被害者の、法則に一貫性がなくなる。
主人  ならば話は簡単だ。私は模倣犯かもしれないということ。
扇山  そうとも限らねぇ。全てが同一犯としての可能性はまだ考えうるからな。
主人  まぁいい。君とはゲームをしよう。
扇山  ゲームだと?
主人  そう、ゲーム。断る権利はないよ。
扇山  何の意味がある。
主人  君が勝てば素直に逃がそう。そのときは私も素直に捕まる。
扇山  負けたら?
主人  こちらの言うことを聞いてもらう。
扇山  素直に聞くとでも思っているのか?
主人  聞く以外にないさ。その箱の中じゃ見えないだろうが、君には特殊なパンツを履いてもらった。
扇山  パンツ。
主人  パンツ。真っ赤なパンツ! 真っ赤なパンツは勝利の合図!
扇山  なんなんだ急に。
主人  そのパンツは爆発する。鍵は私が持っている。大丈夫、トイレは出来る。
扇山  そうか、今までの被害者にもこれを。
主人  いいや。君で二人目だ。前の奴はまだ、私が模倣犯だと思い込んでる。ずーっとずーっとビクビクビクビク怯えるんだ。私の姿がわからないまま。私はそれを正面から後ろから声をかけて観察する。もしかしたら爆弾を抱えた善良な市民として、善良な市民である私に声をかけるかもしれない! ゾクゾクする、他人が恐怖に怯える姿は何物にも代えがたい。負けたら私の言うことを聞くしかない。じゃなけりゃあ木っ端微塵だ。
扇山  早く始めろ。
主人  そうだ、君が勝った場合の商品の質を上げよう。
扇山  いいから早く始めろ!
主人  全ての事件は私がやった。こういう新しい目線も楽しそうで楽しそうで。
扇山  やっぱり想像通りだったか。
主人  どうかな、やる気は出てきたかい刑事さん。
扇山  知ってたのか。あぁ、出てきたよ、クソ野郎。
主人  さぁ、特別にヒントだ。ここに来る前は何をしていた?
扇山  ……思いだせねぇ。
主人  それじゃあ問題。

●主人ハケ





〈シーン4〉
●牛丼屋。シーン2の終わり。回想。扇山板付き。

扇山  豚汁もう一杯!
    ん?そーいえばここの店、店長変わったんだな。
●花昌入り。
花昌  お待たせいたしました。お冷こちらにおいておきますね。
扇山  店長さん?
花昌  はい、そうですが。どうかなさいましたか?
扇山  いや、他の店員さんはいないのか、と。
花昌  さっきひとり居たんですけどね。帰っちゃったんで今は私一人ですね。
扇山  大変だねぇ。
●花昌ハケ。

主人  それじゃあ問題。君は花昌という人間に会っているか。




作品名:箱爪~ハコヅメ~ 作家名:月とコンビニ