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月とコンビニ
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箱爪~ハコヅメ~

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箱爪~ハコヅメ~
  牛丼とパンツのミステリー
【著】1久保2大島3松田【一周】
○登場人物
・花昌(はなまさ):男
・主人:男
・お付の者:女
・扇山(おうぎやま):男

〈シーン1〉
 ●花昌、箱のようなものの中に閉じ込められてる。横60奥行120高さ80くらいの空間、また右手が右頬の近くに来るように紐で固定されている

花昌 んぅ・・・俺なんで寝てたんだ、なんだここ?夢か、寝よ。・・・牛丼臭っ!は?なんだよこれ!爪?爪から牛丼の匂いがする!なんで?・・・夢じゃない、同じ場所だ。誘拐、俺を?まじかよ。薄暗い・・・意外と冷静なんだな俺。取り乱した奴から消えていく行くってよく言うもんなうん。まずは現状把握しよう。
   幅は足二個分とちょっと、高さはほぼ座高と一緒、狭いな。この箱この手触りはなんだ?匂いは・・・牛丼臭っ!
主人 起きたかな?(お付の者、奥の方に待機)
花昌 誰だ!
主人 誰でもいいじゃないか。どうせ君からは見えない。
花昌 何もわからない状況にいる俺にさらに追い打ちはやめてくれ。一つでもわかる情報があれば少しは安心する。
主人 ほぉ、案外落ち着いてるんだな歓心したよ他の奴らとは違うようだ。そうだな、主人とでも呼んでくれ。
花昌 主人か、主人さんよ俺になにをした。ここはどこだ?あんたの目的はなんだ?
主人 少し黙ってくれないか。この状況を見てわかるように君に主導権はない。私が仕切らせてもらう。
花昌 主人っていう名前だけあって支配欲があるんだな。
主人 君は固いなぁ、もっとフランクにいこうじゃないか。(小さな輪っかを取り出す。箱に輪っかをくっつけそこから手を中に突っ込み、引き抜く)
花昌 うわっ!(主人は場所を変えながら何回か同じことを)なんだこれ!こんな穴どこに・・
主人 外側から内側には干渉できるんだよ。ウナギ筒って知ってるか?そんな要領さ。
花昌 てめぇ!ふざけん・・(主人とお付、二人で足を掴んで引っ張る、そして離す)い、今両方から、他にだれかいるのか!
主人 さぁ?どうかな、気持ちはほぐれたかな?
花昌 おかげさまでな!いい趣味してるぜ。
主人 フフッ。それでいい。そのくらい反抗してくれなければやりがいがない。
花昌 この人の爪に牛丼の匂いを付けんのもアンタの趣味かい?ありがたい嫌がらせだぜ
主人 牛丼?何の話だ?・・・(お付を見る。)
お付 ・・・・・(無言で主人を見る)
主人 まぁいい。特に支障はないだろ。そろそろ話を進めようじゃないか。最近巷で噂になってないか?ある町から次々に人が消えていく神隠しが起こっていると。
花昌 噂も何も、俺が住んでる町だ。嫌でもわかる。高校生、大学生が次々といなくなってる事件。何人かはポツンと戻ってくるらしいんだけどその記憶はない。俺は社会人なんだけどな、あんたがその事件の犯人か。
主人 いいや、私はその事件とは関係ない。
花昌 !?じゃあなんだってんだ!
主人 そうだな・・・模倣犯のようなものかな。
花昌 なんだと?
主人 君は気にはならないか?なぜ犯人はあんなことをするのか、ただの誘拐ではない、、記憶をなくしているとはいえ被害者を逃がしている。こんな刺激的なことはない!もし仮に君が被害者で犯人は同じ町に住んでいたとしよう、いつも行くスーパー、病院、公園、レストラン!君は犯人とすれ違っているかもしれない!前の人がハンカチを落としそれを君が拾い渡す。その相手が犯人かもしれない。君は記憶がない、しかし相手は違う。すべて知ってるんだ。その時犯人は何を思うんだろうかう?知ってみたくはないか、それは一線を越えたものにしかわからない感覚だろう。
花昌 あんたみたいなのがサイコパスって呼ばれるんだろうな。
主人 興味があった。それだけさ。君を逃がすかどうかはわからないけどね。さていくつか君に選択肢を与えよう。?私とゲームをする。?自力で脱出を試みる。?その他、この三つだ。?を選んでも私は一向に構わん。その代り一切の情報を君に与えない、また私は関与しない、この場から消えよう。?は君から案があれば聞き入れよう。面白ければ採用してあげよう。どれを選ぶかは君次第だ。
   さぁ・・・君は何をする?
花昌 選択肢だと?
主人 そうだ。最初に言っただろ?主導権は私にあると。
花昌 なるほどな
主人 さぁ、どうする?
花昌 俺は…

〈シーン2〉

●場所は変わり、街に普通にある牛丼屋。そこでお付けの者が食事をしている。
そこへ、扇山入り

扇山  よっ
お付  ……
扇山  なんだよ、今日は随分と機嫌がいいじゃないか
お付  ……
扇山  げっ、相変わらず七味好きだねー俺どーも牛丼に七味は合わせられなくてさ
お付  ……
扇山  すいませーーーん。えーーと……特選牛丼の大盛り。あと味噌汁を豚汁に変更で。
お付  ……
扇山  最近来ないから心配してたんだぞ?
お付  ……
扇山  もしかしたら攫われちゃったんじゃないかって
お付  ……
扇山  怒るなよ。悪かった。
お付  ……
扇山  でも心配したのは本当なんだぜ?最近この町物騒だからよー
お付  ……
扇山  しかし、最近増えたな失踪者。ここ一か月で15人、ターゲットは高校生から大学生まで。人騒がせなやつらだよ、まったく。
お付  ……
扇山  お陰様で依頼が増えたのは嬉しい悲鳴なんだが、こっちもまだ調査の段階でね。聞き込みしすぎて、結局足腰が悲鳴をあげる始末さ。
お付  ……
扇山  神隠し。巷ではそう言われているよ。
お付  ……
扇山  だから機嫌悪くするなって。
お付  ……
扇山  俺だって仕事なんだから仕方ないだろ。それに今は形振り構ってられないんだ。
お付  ……
扇山  それでな、聞き込みしてたら気になる情報が手に入ってねー。さっきターゲットは高校生から大学生って言ったけど、実は例外が一人出たんだよ。顔はまだ調べてないんだが、花昌という男が三日前に失踪したらしい。そんで、こいつは社会人だったんだ。
お付  ……
扇山  これはただの偶然って捉えることもできる。ただこれに意味があるとしたらどうだろう。最初は高校生、次が大学生、そして今回だ。仮に意図的に神隠しを引き起こしている奴がいるのなら、そいつの実験か何かが次の段階に上がったんじゃないかって。
お付  ……
扇山  記憶を消された状態の失踪者が現れたのも、そいつの実験の一部なんじゃないかなーって俺は思うわけなんだけどー
お付  ……
扇山  って聞いてる?
お付  ……
扇山  なんだ、聞いてるじゃん。聞いてるならリアクションしてくれないとー。
お付  ……
扇山  まぁその辺も含めて明日からまたバタバタすると思う。だから此処にも当分は来れないかもね
お付  ……
扇山  その顔はー…何の顔だ?
お付  ……
扇山  だから怒るなって!悪かった!悪かったって!
●お付け、ハケ
扇山  あーあ、行っちゃった。しかしあいつ、なんで今日あんなに機嫌悪かったんだ?はぁ…豚汁少し冷めちまったなぁ。あ、すいませーん。お冷貰えますー?それと豚汁もう一杯!
    ん?そーいえばここの店、店長変わったんだな。

〈シーン3〉
作品名:箱爪~ハコヅメ~ 作家名:月とコンビニ