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連載小説「六連星(むつらぼし)」 56話 ~60話

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連載小説「六連星(むつらぼし)」第59話
「義を見て・・・・」


 蕎麦屋『六連星』は、日暮れから深夜にかけて店を開ける。
客層もいろいろだが、基本的に飲み屋街で働く人たちが多くなる。
愛人関係なのか、遊び友達なのか、訳あり風の男女のカップルもよく来店する。
バブル全盛の頃や、地元企業が接待で交際費をばらまいていた時代には、
『六連星』もたいそうな賑わいを見せた。

 午後の10時を過ぎると、客足が一時的に途絶える。
もうすっかり出来あがっている岡本のとなりへ、チョコンと響が腰をおろす。
呑みかけのグラスへ、更になみなみとビールを継ぎ足す。

 「おっちゃん。
 任侠が良く言う義をみてなんとかという言葉には、どんな意味があんの?」

 「あ。うん、・・・・義を見て為さざるは、勇無きなり。
 語源は中国の『論語』だ。
 見義不為、無勇也 (ぎをみてなさざるはゆうなきなり)と漢字で書く。
 こうするのが正しいと知っていながら、それを実行しないのは、
 勇気のない、臆病者だと言う意味だ。
 なんだ突然、藪から棒に・・・・」