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でんでろ3
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師走の青い鳥(ロングバージョン)

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<4>


 昼寝して、起きてみると、コー介はいなかった。
「あれー? あいつ、バイトだっけ?」
寝ぼけまなこをこすりながら、流しに行き、コップで水を飲んだ。

 こたつの上に、コー介の財布が、置きっ放しになっている。

 なぜか、心拍数が上がった。

「いやいやいや、待て待て待て」
俺は、俺の中の悪魔に語りかけた。
「ここで、居候させてもらってるだけでも、ありがたいことだ。この暮らしを失ってもいいのか?」
しかし、悪魔も、反撃してくる。
「タバコ、しばらく喫ってないよなぁ。うまいだろうなぁ」
「そんなことをいうな!」
「おーや、言ってることと、やってることが、違うんじゃねーか?」
 そこで、我に返ると、俺は、コー介の財布の小銭入れの部分を、開けていた。
「うわぁっ!」
俺は、驚いて、あろうことか、財布を投げてしまった。小銭が部屋中に散らばった。
 その時だ。近づいてくる足音に気付いたのは。
「コー介だ!」
直感が、そう告げている。
 俺は、反射的に、ドアに飛びつき、チェーンロックをかけた。タッチの差で、コー介がカギを開ける方が遅かった。当然、ドアは開かず、コー介は文句を言った。
「何やってんだよ。入れろよ」
「いや、それが、ちょっと」
「ちょっと、なんだよ」
「その、入らないで欲しいって言うか。見ないで欲しいって言うか」
「なんでだよ? ……お前、なんか、やらかしたのか?」
「違う。違う違う。その、なんだよ、あれ、日本昔話的なあれだよ」
「『日本昔話的あれ』?」
「そ、そうそう、ほら、『鶴の恩返し』とか。『決してみてはいけませんよ』的な」
「? ……あ。あー、あー。あれ! あれなの? そうなの?」
「そー、そー。あれなんだよ。だから、ちょっと、待っててくれる?」
「分かった。また、あとで」
 バタンとドアが閉じられると、俺はその場にへたり込んだ。