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でんでろ3
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師走の青い鳥(ロングバージョン)

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<2>


 俺は鳥だ。見りゃ、分かる? ああ、そうだな。青い鳥だ。それも、見りゃ、分かる? そりゃ、どうも。すまん。氏素性は自分でも分からんのだ。
 俺は、色んな街を転々としながら、自分の羽根を、幸運の青い鳥の羽根とは言わずに匂わせて、募金してもらって、暮らしている。
 今日も、1人、カモ……、いやいや、お客様が声をかけてきた。
「な、なんだ? お前?」
「あ、お兄さん。青い羽根募金に協力してくれない?」
「いや、聞かれたことに、答えろよ。お前は、何なんだ?」
「あ、私? 私は、師走の青い鳥です」
「師走」のところは、わざと、ごにょごにょと聞きづらく言った。
「えっ? お前、『幸せの青い鳥』なの?」
「あー、いやー、まー」
「へー、すっげーな」
「いや、それほどでも……」
「で、何? 募金して、羽根もらうと、幸せになれるの?」
「えー、まー、個人差は、ありますが……」
「やたっ、ラッキー! 募金しちゃうよー」
「ありがとうございます」
男は、ヒップポケットに手をやり、一瞬停止した後、全身をパンパン叩きだした。そして、「ちょっと、待ってね」と言うジェスチャーをすると、電話をかけだした。
「おー、山根、悪い。俺、お前ん家に、財布忘れてってない? あ、ある。そうか。良かったー。じゃあ、また明日」
男は、電話を切ると、俺に向き直り、
「ごめんなさい。今、財布もってないんだ」
と、すまなそうに言った。
 その瞬間、俺は、ピンと来た。
「じゃあさ。今夜、俺を、泊めてくれないかな。行くところ無いんだ」