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ACT ARME10 謎謎謎謎

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しかし、足跡を追っていた先程までとは違っていて、ゴマがどこにいるのか皆目見当がつかない。とりあえず進んでいる先にゴマがいることを信じるしかなかった。
せめて、何のトラブルも起こらず何かしらの手掛かりが手に入ればうれしいのだが・・・
だがなんと無常なるかな、現実はそうもいかないものである。
明かりを灯したレックを先頭に、ジュン、アコ、ツェリライ、ルインと続いていた。
暗闇の中進む一行。こういう時は大体殿を務めているものが突然姿を消すのがパターンである。
しかし違った。突然「うきゃっ!?」と小さな悲鳴と同時に、ツェリライの前を歩いていたアコの姿が忽然と消えたのだ。
それから残りの四人は、消えたアコを必死に探した。
しかし、必死の捜索実らず、その後アコの姿を見たものはだれもいなかった・・・


なんてことはなく、すぐに助けを呼ぶ声が聞こえたため探す間もなく見つかったのだが。
声を頼りに近づいてみると、アコの体はなにやら固い樹脂のようなものに覆われて壁にへばりついていた。感触からしてこの洞窟の壁に使われているものと同じもののようだ。
「どう?アコちゃん。動けない?」
分かりきった質問をしてみると
「指一本動かせないわよ!いいから早く助けなさい!」
と案の定わかりきった答えが返ってきた。
自分でもなんとか脱出しようとしているのか、先ほどからうんうん唸って力んでいるが、全くの無駄な抵抗のようである。
息を止めて思い切り力を込めているせいか、頬が上気してはぁはぁと息づいている。その様子はどことなく艶めかしさが・・・いや何でもない。
とりあえずこのまま眺め・・・失礼、早く救出してあげた方がいいだろう。
しかし、アコの救出は地味に難題である。
この樹脂のようなものはかなり固い。固いだけではなく靱性にも優れているため頑丈なのである。
ルインが本気で刀を振るえば切れないこともないが、そんなことしたら間違いなくアコごと斬ってしまう。樹脂だけ器用に切るなどという芸当はできないから仕方がない。
何より・・・
「全員散開!」
ルインの鋭い一言でアコを除いた4人が一斉に散らばる。その四人がさっきまでいたところに例の樹脂が命中した。
「やれやれ、やっとアコちゃんに不埒な真似をさせている輩のお出まし・・・!?」
人の言葉を止めることはよくあるルインだが、自分から口を噤むことはほとんどない。そのほとんどない状態になってしまったのはルイン曰くアコに不埒な真似をさせた下手人が、想像だにしないものだったからだ。
その姿は、今までかつて誰一人として見たものはいないだろうが、その姿を説明するのは至極簡単だった。
ルイン達の目の前に現れたもの、それは、体長3mにもなろうかという巨大なカタツムリであった。

「だぁーーー!ちくしょううざってぇ!!俺はてめぇみたいなやつが一等嫌いなんだよ!!!」
所変わってこちらはグロウ。あの時ルイン達と同じように落とし穴にはまったグロウは、ルイン達とは違う場所に落ちていた。
そしてロクな明かりもないまま手当たり次第に進んでいくと背後からまばゆい光に照らされ、誰か来たのかと振り返った先にいたのは、光輝く針で覆われた、巨大というには若干誤りがあるがそれでも十分に大きいと思えるハリネズミだった。
普通ハリネズミと言えば身に危険を感じた時に体を丸める。そして基本的に自分から何かを攻撃することはない動物である。
だがこいつは自分から近づいてきてバリバリ攻撃を仕掛けてくる。しかもその方法が丸まって体当たりとかではなく、体中の針をガトリン銃のように乱射してくるのだ。
おまけにこの針は帯電しているため、文字通りバリバリ攻撃を仕掛けてくるのだ。
パワーに自信はあれど、スピードに関しては全くと言っていいほど自信のないグロウにとってこの手の相手は非常に苦手とする。
近づこうにも相手の猛攻に押されてしまうし、攻撃の合間を狙おうにも体の針が無くなったらすぐに後ろに飛びずさって体から針を生やすのだ。攻撃する暇がない。
明かりなど一つもない洞窟で、電流をまとった針がグロウに向けて乱射されているその様は、まるでハリネズミがグロウへ向けてビームを打ち付けているかのようだ。
しかし、それであれば普通この場合の絵面は敵役(ハリネズミ)が、主人公ないしそれに類する者(グロウ)を追い込みビームでなぶり殺しする、というものになるはずである。
しかし、実際はそう言った感想は全く抱けない。
どちらかというと、主人公(ハリネズミ)が敵役(グロウ)に向けて必殺技を放っているにもかかわらず、その効果はいまひとつで苦戦しているように見える。
そう、グロウはすでに百を越えようかという針山地獄を受けながらも、体のあちこちから焦げ臭い匂いを立ち上らせるだけで、まるで倒れるそぶりを見せないのだ。
とはいえ、こちらから攻撃を仕掛けられない以上、ジリ貧ではある。だが、その程度のことであっけなく敗北を喫するようなグロウではない。
「地割!」
グロウが地面に突きたてたハンマーから亀裂がまっすぐ電気ハリネズミに伸びる。
とはいえ見て避けられるスピードなのであっさりかわされる。
だがグロウは懲りずに何度も地割を繰り返し続けた。
電気ハリネズミはそれをすべて跳んで回避する。
ここだけを見ればグロウの悪あがきに見えるだろう。しかし実際は違った。
電気ハリネズミが着地した瞬間、その地面が崩れ落ちたのだ。自分の体を支える地面がなくなればその体は重力に引かれて落ちるのみ。
なすすべもなく電気ハリネズミは暗闇の中へと消えていった。
「へっ、ざまぁ味噌漬けだ。てめぇみたいなコスイやりかた相手なんざ慣れてんだよ。」
グロウは自分の体の堅さと力に頼り切るだけの脳筋ではない。
相手によってしっかりと闘い方を考えるしたたかさを持っているのだ。
しかしそのしたたかさは、ここが洞窟で己が立っている場所もまた崩れ落ちやすくなっていることまでは気づかなかった。
というわけでグロウ、本日二度目の落下オチである。

再びところ変わって今度はフォート・カウル・ハルカの落とし穴に引っかからなかった三人グループ。
持っていたライトを手にカウルを先頭に三人は進んでいた。
進むべき方向はわからなかったが、よく観察すると分かれ道にたどり着くたびに下り坂になっている道がある。
他が穴に落ちたことを考えると自分たちも下に向かうのがいいというわけで、ほかに落とし穴が無いかハルカが警戒しつつ着実に進んでいた。
「待ってください・・・!」
洞窟の落とし穴に最初に気付いたハルカが、再び二人にストップをかけた。
「なんだ?また落とし穴か?」
カウルがそう聞くもハルカは首を横に振る。その表情は、いまだ緊張したままだ。
「地面の下から、何かが・・・来ます!」
ハルカが背中に背負っている「桜鼓」を構える。続いてフォートも銃を構えた。
「そのようだな。下から何かが迫ってきている。」
そう言われた数秒後にカウルも気がついた。何かがこちらへ向かって下からものすごい勢いで迫ってくる音が聞こえる。
「くるぞ!」
そして地面から噴出するように姿を現したのは、額にはすらりと鋭く伸びた一本角と、そのたてがみを炎のように優雅にたなびかせた大きな馬だった。
作品名:ACT ARME10 謎謎謎謎 作家名:平内 丈