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最後の孤島 第3話 『煙にまかれて』

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「その嫌味ったらしい言い方から予想するんだが、ダニエル君は、皮肉屋のイギリス人だろ?」
ポールテンは、ダニエルの冷やかしにカチンときたらしい。
「お見事! 大麻に、洞察力向上の効能があるとは知らなかった!」
ダニエル、それぐらいにしておきなさいよ。

「そこまで商品をバカにする気なら、ちょっと待っていろよ! 持ってきた大麻を、すべて売ってみせるぜ!」
ポールテンは、ダニエルにそう言い捨てると、部屋から飛び出していった。この島で大麻をすべて売り払う気らしい。ダニエルが喧嘩を売ったせいだ……。

「売れるわけないよ。なあ、ヒナ?」
「私もそう思う。……だけど、もし買って使う人が出てきたらどうしよう? たぶん、あっという間に蔓延しちゃう……」
ダニエルと同じく、私も大丈夫だと思っているが、もしものことを考えると不安になる。
 アルコールやタバコはともかく、大麻などは、この島には似合わない。無縁かつ無用な物だ。
 しかし、無縁ゆえに危険性を忘れてしまっていることがある。一旦、危険な存在の侵入を許せば、一気にやられてしまう。きれいな水に、毒薬を1滴垂らすようなものだ。

「止めなきゃ!」
ダニエルに言う。心配性な女だと思われるかもしれない。
「そうだな。それに暇だしな!」
彼はニヤリと笑う。どうやら、彼も同じ考えらしい。よかった。

 あの旧日本兵に飯を喰わせる前に、これをまず解決しなくては。『欲しがりません。勝つまでは!』の精神に生きているようだがら、一食や二食ぐらい無くても平気だろう。