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最後の孤島 第3話 『煙にまかれて』

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【ポールテン】(2)



 孤島のすぐ近くまできた。やれやれ、これで海に沈むことはなさそうだ。あとは、着陸できそうな場所を探すだけだ。滑走路があれば最高だが、それ無ければ、広い砂浜や原っぱに着陸するしかない。
 高度は下がり続けており、海面の波がしっかり見えるほどだ。急いで探さねば。

 ……ところが俺は、その孤島の異様さを見た途端、ポカンとしてしまった……。
 その島のあちこちに、ジャングルに突っ込んだ航空機や、浜辺に座礁した艦船が見えたのだ……。古今東西の物ばかりで、模型屋並のボリュームだった。
「面倒な場所に着てしまったみたいだな」
感心すると同時に、俺は怖くなる。バミューダトライアングルのようなミステリースポットに迷い込んでしまったんじゃないかと思ったからだ。
 だが、俺は子供じゃないんだ。ちゃんとした理由があるはずさ。
「まさか! この島はきっと、不用になった飛行機や船を捨てる場所なんだ!」
自分に言い聞かせる。そうだ、そうに決まっている。

「あっ!!!」
やってしまった。この状況を考えるのに夢中で、着陸地点を探すのを忘れていた。ジャングルが目前に迫っている。
「クソ!!!」
右に避けよう!
 だが、手遅れだった……。ジャングルの木々が、フロントガラスに衝突していく……。



 ……幸運なことに、機体が爆発炎上するという事態は避けられたようだ。ジャングルに突っ込んだ機は、何本ものツルによって受け止められた。ツルはゆっくりたるみ、ドロドロした地面に機首が沈んだ。底なし沼ではなく、コクピットに少し泥が入り込んだところで、機は完全に止まった。
「あ〜、応答願います! 応答願います!」
このへんの空域を管轄している管制塔に、救難通信を入れる。「積荷」は無事のようだが、この状況ではもう仕事どころではない。
「もしもし? 応答願います!」
何度呼びかけても、応答は無かった。
 無線通信機が壊れたのだと思い、仕事用の衛星電話を、ズボンのポケットから取り出す。
「クソ! 外に出ないとな!」
機体の上は、木々の葉っぱで覆われていた。青い空がほとんど見えないほどだ。これでは、電波状態が悪い。
 仕方なく、機体から出ることにした。機体のバランスを崩さないよう、慎重にだ。積荷が転がり、重みで泥の中へ沈むという展開など、夢でも絶対見たくない……。