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最後の孤島 第3話 『煙にまかれて』

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「……全然、獲れないわ」
愚痴をこぼす私。

 なにせ、何度網を投げこんでも、魚を捕まえることができないのだ……。30分ぐらいやっているが、漁獲量はゼロだ……。
 魚のクセに、動きが素早く、沈む網にかかってくれないのだ。誰かが魚を誘導してくれれば、成功するかもしれない。

 そこで、ダニエルのほうを見る。なんと彼は、サングラスをつけて寝ていた……。もしかすると、顔にサンオイルでも塗っているかもしれない。
「ダニエル!!! 手伝ってくれない!?」
大声で頼む私。前のサンゴ礁集め同様、彼に頼るのはどうかと思ったが、1人では無理そうなのだから、仕方がない。

「なにー?」
ダニエルは寝ていたらしく、私の声がちゃんと届いていなかったようだ。
「手伝ってくれない!?」
もう一度叫ぶ。
「もちろん、いいとも!!!」
どうやら、私が助けを求めるのを待っていたらしい。か弱い乙女を助ける男を、彼は目指しているだろう……。

   フゥーーー

 ダニエルがこちらへ走ってきているとき、風を切るような音が聞こえてきた。ジェット音やプロペラ音ではないようだが、音源は大きそうだ。
「ヒナ!!! 新入りが来たぞ!!!」
彼は立ち止まり、私の頭上の背後を指差している。振り向いて、見上げる私。

 グライダー状態のセスナ機が、島に近づいてくるのが見えた。日光に当たって、機体のオレンジ色が明るく輝いている。