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最後の孤島 第3話 『煙にまかれて』

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 ヤツが貴族かどうかはともかくとして、大麻売人であるはずのヤツは、商品のマリファナタバコを吸い始めた。おそらく彼も、元々は、大麻にハマった側の人間なのだろう。

「クソ。煙がここまできやがった」
ヤツが吸うマリファナタバコの煙が、オレが潜んでいるところにまで漂ってきたのだ。なんとも強烈な匂いがする。薫製にされているみたいだ。間違いなく、体に有害だし、これでは自分が吸っているのと変わらない。頭がボンヤリし、息苦しくなってくる。

 今日はもう、ヤツがあの場所から移動することは無さそうだし、一旦戻ろう。このままここにいたら、ジャンキーになってしまいそうだ。
 オレは、伏せたまま体の向きを変え始める。この場所は覚えてあるから、また来れる。

   ガサガサガサ!

 ――やってしまった。足を茂みに引っ掛けてしまったのだ……。匂いで集中力をやられてしまっているらしい。
「おい!!! そこにいるんだろ!!! 出てきやがれ!!!」
ヤツが、オレがいるほうに叫ぶ。どうやら、向こうは集中力をやられていないらしい。

   パーン!!!

 乾いた銃声が響く。銃声を生で聞くのは初めてじゃないが、全身に重く響いた。頭上を銃弾が通り過ぎていくのを感じる……。
 無事に逃げられる気がしない。危険だが、ヤツと対峙するしかないようだ。スキを見て、銃を奪えば、オレの逆転勝ちが決まる。
 堂々と立ち上がり、ヤツを睨みつけるオレ。