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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   14話   『生徒会主催 花見大会 前編』

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「そうだな。悔しいがホント綺麗だな」

「でしょ~♪あはは♪」

そう冬姫満面にっこりフェイスを俺に見せると、冬姫も明日香のところに駆け寄って一緒になってわいわいはしゃいでいた。

「まったくあいつらは」

俺ははしゃぐ二人を見て微笑みつつ、桜の木々をじっと見渡していた。

「おーい!お前ら遅えぞ!今、何時だと思ってるんだ?」

和んでいるところをぶち壊すかのように駆け寄ってくるは女子に人気沸騰中の茜。
…チッ、せっかく人が和んでるとこを。

「お~茜ちゃん、やっほー♪」

「よう!明日香~相変わらず元気全開だな」

「うん♪ボクはいっつも元気なんだよ~♪えへへ~♪」

と元気100%、どこぞの全世代にも人気なヒーローもビックリで引けをとらないくらいの100万系の絶景の満面の笑みを炸裂させていた。ホント天真爛漫…元気っていう言葉が似合うヤツだぜ。

「あの、おはようです。市ノ瀬先輩」

元気全開の明日香とは対照的に、控えめでお淑やかさを兼ね備えた良家のお嬢様のような笑顔でドングリのようなクリっとした瞳で律儀にお辞儀するまどかちゃん。

…これだ。これこそが今の時代にあるべき姿、絶対必要事項ッ!!
癒しという名の治癒魔法が俺の心を和らいでくれる。これが『まどかマジック』。
今の廃れた社会の救世主、きっとまどかちゃんを筆頭した新しい世界が切り開けるだろう。

「おう~!まどかちゃんよく来たな。今日はドンチャン騒いでいけよ」

「あ、茜ちゃんおはよう~。ごめんね、遅くなって」

「冬姫のせいじゃないさ。最も反省すべきヤツは春斗、そして、その後ろに隠れてるかえで、お前らだ」

スライムを連想させるくらいにじとっとした目で俺とかえでを交互に見つめる茜。
しかし、かえでは怯むことなく逆に不敵ににやりと笑みを浮かべ、澄ました顔で、

「フッ…バレちゃしょうがない。何を隠そう今日が花見だっていうのに夜明け近くまでネトゲーに励んでいたからネ☆さすがに起きれなかったってわけさ」

「って何偉そうに暴露してんだよ。遅れたことに変わりないだろうが」

まったくその通りである。

「おい、そこ他人のフリすんなよ。春斗」

「…チッ。覚えていやがったか」

かえでに集中してたからてっきり忘れたかと思ってたぜ。

「まったくホントしょうがねぇなお前らは。まぁ、こうなることわかっていたけどな」

「それはそれで悲しいとこがあるけどな」

「まぁそんな馬鹿話をしにここに来たんじゃないからな。とっとと花見しようぜ。みんなもう集まってるぜ」

茜が指差す方向を視線を向けると、手を振る姉さん、その隣で何やら怪しげなフィールドを展開させている暁と凍弥の姿があった。…あれ?ミナとヒカリがいないぞ。

「ミナとヒカリがいないみたいだが?」

「あぁ、さっきミナちゃんからは少し遅れるって連絡があったぞ」

「そうか。まぁ、荷物があるみたいだったからそうだと思ったが」

「そんでもって、…よく見てみろ。ヒカリちゃんはちゃーんといるぞ」

「なんとッ!!そうだったのか。どれ…」

俺はもう一度視線を戻し、目を凝らしてよく見てみた。
うーん。どう見てもヒカリの姿が見えないんだが…俺の視力下がったのか?
それとも俺にだけ見えないように魔法とかかかってんのか?
その可能性は高いな。あいつならやりかねん。

何せ、自称シェルリアの悪の魔法使いなわけだし。でも、悪の魔法使いって言うよりただのわがままなお子様にしか見えないのは俺の勘違いだろうか?

何にしてもあのお子様魔法使いには注意した方がいいってこったな。
また何をされるかわかったもんじゃない。

「おい貴様。何さっきから馬鹿みたいにぼや~んと遠くを見据えてるのだ?」

「おわぁッ!?って何だヒカリか。ってそうだお前どこにいたんだよ??姿が見えなかったんで俺だけに悪戯でもしてんのかと思ったぜ」

俺が考えに耽っているといつの間にか現れたのか俺の視線より下にちょこんとヒカリが立っていた。

「ん??おかしなことを言うヤツだな。私はずっと貴様の姉と一緒に話していたぞ。何かやたら私を撫でたり膝に乗せようとしてきたものだから少々むかっとしたがな」

そう言うヒカリを見ると、確かに髪がくしゃくしゃになって、服も何だか乱れていた。
当のヒカリもむすっとしている次第だ。
…きっと凄く可愛がられたんだな。

姉さん子供大好きだし、ヒカリを見て何かしら惹きつけられたのだろう。
俺が子供だった時もお姉さんぶってよく可愛がられたのを今でも覚えているからな。
でも、ヒカリは年齢不詳だが子供ではないらしいからな。

背は小学生とてんで変わらないけどな。
しっかし姉さんもヒカリのことかなり可愛がったようだ。
こんだけヒカリが乱れているんだからきっとお気に入りリストに既に登録済みだろうな。

だけど姉さん、可愛がるにも程がありますよ。ヒカリを猫か何かと勘違いしてませんか?

「ってことはだ…」

俺はヒカリの話から推測し、ある一点に考えが到達した。

「そうか!姉さんとじゃれ合って膝に乗せられてたもんだから猫か何かと見間違えて勘違いしてたんだ。そうだ、そうに違いない」

何だそうだったのか。通りでヒカリの姿が見えなかったんだな。これで謎は解けたぜ。
いや、ホント何だか喉にあったつっかえがなくなってスッキリ爽快って感じだぜ。
しかし、俺がうんうんと納得している傍らでヒカリが、

「ね…猫…だと」

眉間に神経を総動員したかのようにしわを寄せ、こめかみをぴくぴくとさせ、今にも爆ぜそうな水風船のように怒りを解き放とうとしていた。

…し、しまった。余計に火に油を注いでしまったようだ。
さっき、ヒカリには十分注意しようと決意したばっかだっていうのに早速不注意警報ではないか。

どうする?これを打開する策は?
そうだ、こんな時は俺の脳内コンピュータで打開の策をば。いざッ!!検索だッ!!
ぶぅぅぅぅぅん。俺の脳内をハイスピードでフルに稼動させ、この状況を打開せんとする考えを導き出そうとする。

……検索中……検索中……ぴこん。
おっと検索結果が出たようだ。何々…。

「…………」

なぜ俺が沈黙しているのはお解りであろう。
そう結果は『該当する項目はありません』の無常にも非常にもその言葉で締めくくられる言葉がぽつんと表示されていた。そんな馬鹿なぁッ!?!?そんなのあんまりだぜッ!?!?どうしたんだってんだ!?こんな…こんなはずじゃ…。

嘆く俺を尻目にヒカリは、こめかみピクピクしわ寄せ眉間で気味が悪いくらいの引きつった笑みを浮かべて俺の目の前に立っていた。

「…あのヒカリさん?」

「なぁ~にぃ~?ハルトお・い・ち・ゃ・ん♪」

ヒカリさん怖い、怖すぎる。それに語尾に音符が付いているのが余計に恐ろしい。

「あの弁解の余地は…」

「フフフ♪」

ヒカリは怖いくらい笑みを絶やさず俺の近くまで歩み寄りなぜか俺の背後に回ると、

「えい♪」

「おわぁッ!?!?」

何を思ったかヒカリは俺に膝カックンしてきやがった。
…何だ、何だ??何のつもりだ??
更に俺の頭にアイアンクローをかまし、俺の顔をぐっとヒカリの顔に引き寄せると、