第1章 14話 『生徒会主催 花見大会 前編』
「この愚か外道貧民者が。黙っていればさっきから…ここで殺るぞ??」
本物のヤクザ&極道の皆さんとサシでタイマンはれるくらいのドスの効いた声に加えて形相な悪の魔法使いヒカリ。…マジで怖いから。ホントにこの娘女の子??って感じなくらい怖い。どんな形相か知りたいヤツがいたらハイスピードで速攻に連絡をくれ。交代してやるからよ。
「…すいません。俺が悪かった。それだけはご勘弁願いたい」
情けないにも程がある最近自覚気味な俺はすぐさまヒカリの怒りを鎮めんとばかりに全神経をフルにそっちに回していた。…バケモノより先に標的されては困るからな。
すると、そんな俺たちの様子に異変を感じたのか冬姫が心配そうな顔で駆け寄ってきた。
「ハルちゃん、ヒカリちゃんどうしたの?何だか様子がおかしいようだったけど」
「ううん、何でもないよ~。ちょっとハルトお兄ちゃんにお話があってね。それで、今からちょっとあっちでお話しようよってことになったんだ~。ねぇ~ハルトお兄ちゃん??」
否定させんとばかりにギロっと睨みつけてくるヒカリ。
…俺、今から花見に参加できっかな。そうだ、ここは冬姫にアイコンタクトで助けを…。
俺は冬姫に今の状況を、助けが必要だということを熱い眼差しで視線に籠めて送った。
-だが
「…え?何、ハルちゃん?…ふにゅ~そんなにじっと見つめられると恥ずかしいよ~ふにゅぅ」
手をもじもじさせ、徐々にほんのり紅く沸騰していく冬姫の頬。
「ふにゅ~。も、もう~ハルちゃんったら~。私、先に向こうに行って準備してくるからね~。ヒカリちゃんのお話相手ちゃんとしてあげるんだよ~じゃあね~」
そう言って、頬色紅色100%寸前で耐え切れなくなったかのように姉さんたちのいる花見スペースまで駆けて行ってしまった。
しまったッ!!この作戦は冬姫には逆効果だったぜ。
あいつの特性を忘れていたのは俺のミス、絶対的決定的な大きな落とし穴だったよ。
…まったくあいつの幼馴染何年もやってんのによ、くそ。
ってなわけで作戦失敗。俺はめでたくヒカリのお仕置きタイムに移行することになったのだった。
ってホントにそうなっちまうのか?マジでか?
そんなことになったらこの花見イベント…いや、今後のストーリーにも支障が生じるぞ。
それでもいいのか?
「それじゃあ~ハルトお兄ちゃんあっちでお話し~ましょ~♪♪フフフ♪♪」
俺の必死の抵抗も空しくずるずるとヒカリに引きずられて連れてかれる俺。
もうこの際、贅沢は言わん。誰かヘルプミーッ!!
この後、ヒカリによる説教&お仕置きタイムが冬姫たちが花見の準備を終えるまでの間ずっと行われることになったのだった。
<次回へ続く>
作品名:第1章 14話 『生徒会主催 花見大会 前編』 作家名:秋月かのん