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星の行き先

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2話 誕生

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「殺し」
一言で言っても殺しには万人が聞いただけで理解できるような殺し方は存在しない。
溺死 焼死 圧死、、、 考えるだけでも殺し方は多数存在する。
ただ彼女にとっての「殺し」とはきっと大半が食事を理由としたものだろう、そうバルフレイアにとってはだ。
しかし、そんな彼女がキラにした「殺し」はとても人間が考えられる範囲の殺しではなかった。
そう、「人間」としてみれば。

「ゴリュッッ、、、」

そんな気味の悪い音とともにキラの胸は真っ赤な鮮血にそまった。
しかし、そんな目も当てられないような悲惨な状況下でキラは、声をあげなかった、否、あげられなかった。
理由は鮮血の出本を見れば直ぐに分かった。
キラの胸は握り拳一つは分んほどの穴が空いていた。
キラは絶命していた。

時間にしてみれば彼女との会話は精々30秒位のはずだった。
だが、キラは絶命を体が認識し脳が完全に停止するまでのたったの30秒が1時間にも2時間にもおもえたことだろう。
世にゆう、絶対絶命時のアレだ。
そんな時間圧縮の中でキラが最後に見たのは、

「ミツケタ」

そう呟いた金髪の良く似合う美しい吸血鬼の顔だった。

彼女は口に笑みを浮かべながら眼前に倒れこんだ少年の死体と、少年がそうなった理由である心臓を交互にみくらべていた。

吸血鬼にとっての食事とは他の生物の血を吸うことではない。
確かに、血を吸うことはある。しかし、それは人間でいう一種のオヤツだ。
吸血鬼が「食事」をするときは、血の一滴も残さずに食べることをさす。
村に血生ぐさい臭気の立ち込めない理由はこの食事があったからだった。
吸血鬼には血に関係する習性複数ある。
その一つに「けんぞく」造りもそのひとつだった。

彼女がキラをわざわざ心臓をくり貫いて殺した理由もそこにあった。
吸血鬼がけんぞくを造るには条件が二つある。

一目はまず、体において最も血にかかわる部位を自分が所有し、その部位に自分の血を流し込みそれを元々の所有者にかえすこと。

そして二目は、心引かれること。


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「起きたか」

キラが次に目を醒ましたときそこは地獄。

では、無かった。
なぜか自分の目の前には村を襲い、おそらく自分を殺したのであろう美しい女性の顔があった。

「ウワッ!」

キラは女性から、飛び退こうとした。
だが、現実はちがった、体が動かなかったのだ。
体が動かない理由が分からないまま困惑していると、女性が口をひらいた。

「キラはワシの名をまだ、覚えておらんじゃろ。
もう一度名乗らせてもらおう、我が名はバルフレイア ・スカーレット、呼び方は好きにしてかまわん、キラとワシは契りを交わしたんじゃからな。」

バルフレイアはイタズラな表情を浮かべてそういった。

「村の皆はどうした、、、」

キラの目付きは困惑から抜けだせきれていないながらも、いつもの鋭い目付きになった。

「食べた」

「嘘つくんじゃねぇ!」

「本当じゃよ?キラ?」

「そ、そん、、な、、、」

バルフレイアにしてみれば、人間が普段食物を食べているのとかわりないことをしたまでだ。
だが、キラは現実をうけとめられなかった。
両親がいなく村での生活は決して裕といえるものではなかった。
しかし、それでもキラの居場所はここしかなかったのだから。

長い沈黙の後キラは目を尖らせバルフレイアに言葉をぶつけた。

「バルフレイアとか、いったな、、、
食べたっていうことはお前は魔物何だな?」

「お前とは、酷いな、でもまぁいいかのキラの村を襲ったのはワシじゃからな。
しかしな、魔物などという下品な生物と一緒にされるのは困るの。」

「じゃあ、お前は魔物じゃないのかよ!」

「当たり前じゃ、ワシはスカーレット一族の長じゃ。
いわゆる魔族というやつじゃよ。」

「魔族も魔物も一緒じゃないか!」

「ふぅ、分かった分かった、キラがそこまで言うなら魔族も魔物も今のところは一緒にしとおこう。
だがなキラよ、
やたら、魔物に反応しているようじゃが、キラもその嫌いな魔物じゃよ?」

バルフレイアはキラの頭を自分の太ももの上に置いたままで、クスクスと笑いながらそう、告げた。

キラは困惑が一気に消えていくの供に自分の心臓が動いていないのにきがつくのだった。

作品名:星の行き先 作家名:社畜A