それが家門なら
20 人の世の掟
いっしょに行くと
いっしょに生きると
君がうなづいて
くれたあの日が
僕が君を
娶った日
君の心を
娶った日
-君がこの世を
去るときは
あの世で待ってる
人のところへ
送り届ける
けれど
この世に
生きてる限り
僕のそばから
離さない-
君とあの人に
墓前で誓った
-君を置いて
先には死なない-
帰りの車で
君に誓った
人の世が
節目と謳って
めでたがる
婚礼の日より
はるか以前に
僕は心で
君を娶った
そして素直に
人の世の
掟に従う
覚悟を決めた
人の世に
正真正銘
祝福されて
君を伴侶に
迎えると
覚悟を決めた
獣が人に
なりたがるんだ
人の世にある
掟には
一切黙して
従うのが筋
今日まで犯した
罪の報いは
甘んじて
受けるのが筋
君の家を
買い漁りかけた
卑劣なゲームの
後始末
見くびり
あざけり
かいくぐって来た
法への改悛
そして何より
駆け落ちなんか
死んでも出来ない
義理堅い
小心者を
伴侶にしようと
決めた以上は
けんもほろろで
取りつくしまない
親たちが
いつか僕らに
折れるころには
老いさらばえて
爺や婆やに
なってるだろうと
観念までした
持久戦
罪の報いに
甘んじようにも
どれもこれもが
一大事で
いつどうやって
始末がつくやら
見当もつかない
試練の数々
僕ひとりでは
手に余ってた
きっと早晩
投げ出してた
だけど不思議と
その日その日の
分だけを
夢中で耐えた
何日何週何カ月
覚えてないほど
夢中で耐えた
心底畏れて
窮して
羞じて
生き直したいと
願うなら
人は必ず
生き直せると
獣も人に
変われると
君が教えて
くれたから
人の世の
掟が認めて
くれるまで
耐えてみせると
強がれた
「いっしょに耐える
この世の試練は
この世で耐える」と
一歩も退かない
君を伴侶と
決めたお蔭で
強がれた
「祝福されずに
苦しむ今を
懐かしむ日も
きっと来る」と
憎たらしいほど
頼もしく
励ましてくれる
君を伴侶と
決めたお蔭で
耐えてみせると
強がれた