それでもいつか遠くの街で
16時58分。
やめてくれ、この緊張感。好きな女を抱くときにだって感じたことないぞ。
16時59分。
時計から目が離せない。いや、周りを見る。また時計を見る。周りを見る。
挙動不審になってないかと 自意識はマックスに近い。
あ、あともう少しで…… 頭の中で 山下達郎が歌い始めた。
(きっとキミは来ない…… 馬鹿野郎!)
17時ジャスト。
「みぃつけたっ」
目の前に女性。
この人なのか?
「はじめまして。素敵な出逢い」
彼女のハンドルネームを呼んでみた。
彼女の口元が微笑んだ。
僕は、おもいっきり博多弁で言ったけど 彼女には伝わったかな?
「 」
「なんて?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞くな。
― 了 ―
作品名:それでもいつか遠くの街で 作家名:甜茶