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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「紫暮」

立ち止まった紫暮の心を見透かすように、気遣うような声が降る。

「おまえのそばにもいてやりたいんだが・・・」

困ったような声だ。珍しい。思わず顔をあげて瑞の方を見た。

「俺はやっぱり、穂積のそばにいたいからなあ」

暗がりに見えないが、たぶん苦笑いを浮かべているであろう瑞の言葉。初めて彼の本心に触れた気がして、紫暮は静かに息を吸う。この式神にとって、穂積は主である前に唯一無二の友人なのだ。そして同時に瑞が穂積に寄せるのは、幼子が親を慕うのに似た絶対的な信頼なのだった。

「・・・べつにそばにいてくれなんて・・・言ってないし」

むくれてそんな強がりを言う紫暮の本心を察してか、瑞はそれ以上突っ込むことなく、紫暮の髪を乱暴にかきまぜるのだった。

「映画、覚えてるか?」
「・・・?」
「『十二歳のあのころのような友だちは、もう二度とできない。もう二度と』だよ。十四歳のおまえにしかできないことをたくさんしろよ。ジジイになってから後悔するのはきついらしいし」

後悔か・・・。いつか清香の跡を継いだとき、自分の人生をつまらないものだったと、そうは言いたくない。生まれ持った役目に負けるのは絶対に嫌だ。あの映画の眩しい夏の風景を思い、紫暮は強く思う。