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高柳敬紀の奇妙な日常

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 俺達が通う学校は丘の上にある。というか丘全体が学校で、校舎が丘の上にあると言うのが正しい。麓に校門があって、始業時間になると当番の先生が閉めることになっている。一度閉めたら余程の理由がない限り開けない方針だ。最近の物騒な世の中に習って、ウチの学校も警備を徹底したらしい。よって遅刻は欠席と同義。欠席が規定数に達すると強制退学というおまけ付きだ。
 俺はうるさい後ろに適当に相づちを打ちながら、校門の前まで来た。始業時間まで、かなり時間がある。今日も余裕の到着だ。
 そこで見慣れぬ制服に目が止まった。長い髪を高く結って(ポニーテールって言うんだっけ?)セーラー服に身を包んだその子は、校門で誰かを待っているようだった。
「転入生かな?」
「あー、他の女のこと見てる〜」
「なんでお前にんなこと言われなきゃならねーんだよっ」
 ふと、長い髪が動いた。校門の彼女が俺達の方を見たのだ。マツリを見て驚くかと思われた彼女は、またごく自然な動きで背後にあった長い包みを解く。包みの中から現れた白木の棒をつかんで……え、割れた?
「見つけましたっ!」
 彼女が振りかざしたのは、どこをどう見ても日本刀だった!
「ななななぬぅっ!」
「ええええっ、あたしぃ?!」
 硬直する俺の耳元で空気が斬れる音。寸前でマツリが一段と高く浮いた。なんだか訳が分からないと言う顔で俺を見るが、俺の方が分からない!
「ちょ、ちょっと待てよっ。君は何者なんだ?!」
 また日本刀を構え直す彼女の腕を押さえて、俺は叫んだ。とりあえずここは抑えてもらわないと、登校中の他の連中にもとばっちりがくる。彼女もそれに気付いたらしい。我に返ったように居住まいを正し、日本刀を丁寧に仕舞った。
「申し訳ありません。お怪我はありませんでしたか?」
「あ、ああ。俺は大丈夫だけど……」
「あたしは死にそうだったわよ!」
 マツリは俺の背後からかみつく。
「私は『異生』を斬ることを生業としている者です。そちらの方を斬らせていただきます」
 彼女はマツリを指さして言った。俺とマツリは目が点のまま、顔を見合わせた。
作品名:高柳敬紀の奇妙な日常 作家名:aqua*