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【創作】「背中合わせで抱きしめて」

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三日目、ウィズの勝ち。

アレンは、ラスリナに「一人にして欲しい」と言って、部屋にこもる。
ベッドの上で体を丸め、ウィズのことを考えた。

・・・・・・ウィズに会いたい。

不安な時は、いつもウィズが手を握ってくれるのに。今は、誰の温もりも感じられない。
ウィズは何を考えているのだろう。昨日負けたせいで、あの悪魔に酷いことをされたのだろうか。ウィズを助けるには、アレンが勝つしかないとラスリナは言った。ウィズを助けたい。その為には、勝つしかない。

でも、ウィズには勝てない・・・・・・。

どうして、勝負方法があのボードゲームなのだろう。他の方法だったら、アレンが勝つことも出来ただろうに。

・・・・・・ウィズに会いたい。

アレンは枕を抱え、押しつぶされそうな孤独と不安に、必死で耐えた。



こつこつとノックの音がして、ユークが顔をのぞき込んでくる。

「やあ、ウィズ。また服のままで寝てるのかい?」
「何の用?」
「お茶を一杯」

ユークが差し出したカップを、ウィズは体を起こして受け取った。

「それと、ルールを教えてくれないか? 君達の勝負を見ていて、興味が沸いてきた」

ボードを広げるユークに、ウィズは呆れたように肩を竦める。

「ルールも知らずに、勝負させてたのか」
「僕は関わってこなかったからね。今回が初参戦だ。さあ、駒はどうやって並べればいい?」

ユークに促され、ウィズは手早く駒を並べた。基本的なルールを説明し、実際に駒を動かしてみせる。ゲームの流れを見せながら、ユークの質問に答えるを繰り返した。

「お兄さんを追いつめるのは、どんな気分だい?」

さらりと問われ、ウィズは冷ややかな視線を返す。

「悪魔側の代理である君が勝ったら、暗黒の時代に突入だ。君は、全人類から恨まれるだろうね」

笑いながら言うユークに、ウィズは表情を変えないまま言った。

「「全人類」とやらには、会ったこともないから知らないな」