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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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びくっと肩を震わせて、彼女は泣きそうになっている。

「・・・学校休んでんだろ、家にいろよ大人しく」

呆れる紫暮だったが、彼女は何か意思を固めたようにくちびるを結んで黙り込んでいる。

「あのね紫暮くん」
「え?」
「昨日の時計男・・・顔が、」

顔、と問い返す。

「すごい・・・悲しそうな泣きそうな顔してたの・・・」

苦しげに足元を見つめながら、彼女は続けた。

「あ、あたし悲鳴上げて逃げちゃったでしょ、それで・・・なんか、すっごく、悪いことしたみたいな気がしちゃって・・・」
「・・・」
「トモダチの怖い話を鵜呑みにしてたけど・・・あの男のひと、泣きそうだった・・・時間くらい、教えてあげてもよかったのかなって・・・」

なんだそれは、と半ば呆れて紫暮はため息をつく。

「ほんとなんだもん!泣きそうで、悲しそうで・・・いたずらしようとか、刺してやろうとか・・・そんな感じじゃなかった!あたしびっくりして・・・あんなふうに逃げようとしたこと、すごく後悔してる・・・」

殆ど叫ぶような調子で、彼女が反論する。今度は紫暮がびくりと肩を震わせた。

「あたし、調べてみようって思ってる。あのひと、すごく困ってる気がするから・・・」
「・・・・・・」

真剣なまなざしに押され、紫暮は黙り込む。調べようとしていたのは紫暮も同じなのだが、彼女は術者ではない。身を守るすべもない。変質者でないとしたら、あれは怪異だ。七星には身を守るすべがない。