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CROSS 第21話 『Lieutenant』

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第3章 調べもの



 758世界のよりも未来的な建物が立ち並ぶ敷地を、佐世保と上社は歩いている。ザフト兵に変装しているものの、2人はできるだけ目立たないようにしていた。
 幸いなことに、敷地内を歩く人影は少なかった。ただ、建物の中は騒がしそうであった。大仕事にてんてこ舞いしているという感じだ。そんな喧騒を尻目に2人は、目的地である国防事務局の建物に向かう。
 旧大使館で手に入れた地図(バレないように、3D立体機能はオフにしておいた)を頼りに、しばらく慎重に歩いていると、目の前に無機質かつ堅牢な建物が見えてきた。建物の車寄せ部分の屋根の正面には、『国防事務局』という文字が厳かに記してある。その建物のすぐ横には、モビルスーツ用の格納庫が建っている。
 その建物全体が、厳粛かつ排他的な雰囲気を匂わせていた……。


 国防事務局の建物から発せられる厳粛かつ不寛容な雰囲気に負けることなく、佐世保と上社は建物の中に入る。ロビーには、検査ゲートも警備員の姿も無く、2人は安心したが、その代わりに激しい喧騒が2人を出迎えた。事務局の職員やザフト兵がロビーを行き来し、情報収集をしていた。どうやら、大きな軍事作戦を実行中で、その対応に追われているらしい。
 幸いなことにその喧騒のおかげで、2人は怪しまれずにすんだ。。そのため、何台ものコンピューターが並ぶオフィスに、そのまま入ることができた。ここのコンピューターを使い、山口に関する機密情報を、データサーバーから入手するのだ。パスワードなどのセキュリティは、佐世保御自慢の携帯式ハッキングコンピューターを駆使して、突破してしまうつもりだ。彼女によると、突破できなかったことは一度も無いそうだ。
 ただ、そのオフィスには、多くの職員やザフト兵がおり、怪しげなハッキングコンピューターをここのコンピューターに、堂々と接続するわけにはいかなかった……。モニター画面をのぞかれただけで終了だ。

 2人はあきらめて、そのオフィスからそっと出る。人が少ない別のオフィスを探すのだ。時間はある。
 だが、よほど大きな軍事作戦らしく、どこのオフィスも大混雑だった。しかも、混雑度はどんどん増している。これでは、空いているコンピューターすら無さそうだ。この混雑がいつ収まるかなど、とても想像できない。
 作戦を練るために、薄暗い書庫に一旦移動した。ここなら声をかけられても、書類探しといった理由が使える。念のため、書庫の書類の中から山口に関する情報が見つからないかと探してみたが、あるのは無関係な古い書類だった……。山口に関する情報は、コンピューターかサーバーの中にあるのだろう。
「おっと」
上社は、積み上げられていた書類のタワーを倒してしまった。バサバサという音ともに、嘔吐のように床に散らばった。カバーの布に積もっていたホコリは舞い上がる。
 そのままにしておいても構わなかったが、律儀でクソ真面目な上社は、それを片付け始める。
 ところが、壁付近の書類を拾い上げたとき、彼は手を止め、あきらめムードを漂わせ始めている佐世保のほうを向き、
「LANケーブルは持ってきてる?」
そう尋ねた。

 上社の書類を持つ手の先に、LAN回線の接続口があった……。