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　佐世保と上社は、コンピューターを使い、携帯端末にあるデータを確認する。
　あのブサ面が、使っていたウェブブラウザやソフトを、片っ端に閉じていく。保存を促す場面が出たような気がしたが、まあいいだろう。
「アイツ、仕事中に何しているのかしら……」
操作している佐世保は呆れ顔だ。
「まあ、それは山口さんも同じだけどね」
「……今のは聞かなかったことにするわ」

　ようやく普通に使えるようになったコンピューターに、携帯端末を接続する佐世保。画面に、接続中と表示される。
「大漁ね大漁！」
彼女は、入手できた情報に喜ぶ。領収書から潜入報告書まで含まれていた。この幅広さから考えれば、山口に関する情報もあるに違いない。
「気になるけど、まずは山口さんからだね」
「もちろんよ」
効率的な検索機能を使い、山口の情報を探し始める。量が量だけに、なかなか出てこない。やっと出てきたかと思えば、彼の容体や居所とは無関係なものだった。
　進行状況を示すバーは、ゆっくり動いている。あと３分の１ぐらいで検索が終わる。今のところ、無関係な情報しか出ていない。
「もしこのまま出てこなかったら、どうしようかしらね？」
不吉なことを口走る佐世保。
「それなら、もう１回行ってこなくちゃね。今度は情報データじゃなくて、関係者を持ち帰らなければいけないけど」
「あんな緊張感は、もう味わいたくないわ……」
もうこりごりらしい。しかし、他に情報源があるわけではなかった。

『ＣＲＯＳＳの山口に関する経過報告書』
残り５％を切った頃に、そんなファイル名のデータが出てきた……。
「経過報告ってことは、山口さんを拘束している連中じゃない？」
「まだわからないよ。新聞などを情報源に、観察しているだけかもしれない」
興奮する佐世保をいさめる上社。
　もう他に出てくるデータは無く、経過報告書のデータを開いてみる。彼女はもちろん、上社もすっかり緊張していた。

『拘束した山口をプラントへ移送していた。しかし、その道中、悪魔連合軍だと名乗る軍艦より攻撃を受ける。艦は撃沈され、山口と本局（国防事務局）の職員１名が捕虜として拘束された模様。』
わかりやすく要点をまとめると、上記のことが書かれていた……。
　現状は不明だが、有益な情報であることには違いない。これは大手柄だ。これなら、また出張する必要は無いだろう。
　佐世保と上社は、収穫した情報を感慨深げに眺めている。