放課後のパティシエール。
●友人と桃が家庭科室の入り口で話す。家庭科室には辻と薫がいる。
桃 先輩、準備はいいですか。
友人 おう、普通に自然に違和感なくだな。
桃 心配。
●友人は家庭科室のドアを開ける。
友人 よぉ、辻ー。やってるか? 気になってな。
桃 通りすがりを装えって言ったでしょばかぁ(小声)
辻 おおおっ、あ、ああ、大丈夫だああ!
薫 あ、友人君……。
友人 何焦ってんだよー。
辻 く、来んじゃねぇよっ。
薫 ちょっと、あんた人に話したの!?
辻 す、すまん、友人だけだ……。
友人 いい匂いだなぁ。
桃 もぉ、いいです先輩。あれ? お姉ちゃん?
薫 も、桃? なにしてるの?
桃 何って、帰る途中だけど。先輩と。
薫 そう……友人君と、ね。
辻 あ、おまえホントに来たのか!
桃 辻先輩もいたんですね。
薫 なによ、あんた達知り合い?
辻 あ、ああ、ちょっとな。
友人 仲良くやれよー?
辻 余計なお世話だっつの。
桃 さ、先輩帰りましょ?
●桃、友人ハケ
桃 あ、そだ、次の日曜日はどこいこっかっ。
友人 えぇっ? えと……。
辻 ったく、びっくりさせるなよな……
薫 ……うん。
辻 元気ないな。
薫 なんでもない。
辻 べ、別にあいつら、つ、つき、つつき
薫 は? 噛みすぎ。
辻 別にあいつら付き合ってるとかじゃないと思うぞ!
薫 ……ぷっ、それが言いたかったの?
辻 ……。
薫 気にしてないわよ、そんなの。
辻 でもこのクッキー……。
薫 あっ、早く続き続き!
辻 ……ああ。もう焼けてっかな。
●クッキーが焼けた。
薫 わ、おいしそう。
辻 割とうまくできたんじゃないか?
薫 味見よ味見ー!
辻 うまいな。
薫 うん。うまいうまい!
辻 適当にやった割にはな。
薫 うざ……。
辻 あ、後は本番まで練習あるのみだ!
薫 おーー!
辻 じゃあ、今日は終わりだ。
薫 そうね。
辻 帰るかー。
薫 うん。今日はありがとね!
辻 お、おうっ!
薫 何照れてんのよー。
辻 は、はは。本番、がんばれよ。
●辻、薫一緒に家庭科室を出る。
●学校を出た校庭。桃と友人は帰っている。
友人 うまくいったかな。
桃 先輩、最初からプラン全無視しましたね。
友人 えー? そうだっけ?
桃 まぁ、いいです。一応辻先輩にも手は回したんで。
友人 まじかよ、こえぇ。
桃 全然乗り気じゃないし意味なさげでしたけどねー。
友人 はは、あいつはなぁ。
桃 ホント使えない人達。
友人 この後輩こわいよ。
桃 あ、そうそう先輩。先輩は頭が悪そうだからもう一度言いますけど。
友人 酷くないっ!?
桃 さっきのは冗談じゃありませんから。
友人 さっきの?
桃 私があなたに言った『好き』って告白です。
友人 っへっ?
桃 あれから何も聞いてこないし言ってこないので、忘れてるのか冗談だと思ったのかでしょう。
友人 冗談かと……。
桃 やっぱり頭が悪かったです。
友人 あ……へぇ。
桃 先輩。
友人 はい!
桃 お腹が空きました。ドーナツが食べたいです。
友人 い、いい匂いだったもんね……うん。
桃 行きますよ。
友人 へ?
桃 友人さんのおごりですからね。
友人 ええっ?
●桃、友人ハケ。
作品名:放課後のパティシエール。 作家名:月とコンビニ