魔王と勇者の研究室
「おや?お客様……、えぇと」
「ルインだ」
「ルイン様、わたくしめに何用ですかな?」
ルインはアルフレッドに話しを聞きに来ていた。
「奴の奇病について教えろ、俺が何かしら対処してやる」
「はぁ、しかし…」
躊躇うのも無理はない。
なにせ、(お嬢様曰く)森で拾われた何が目的かも分からない悪魔が、お嬢様の病気を治すと言っているのだ。
「別に信用出来ないのなら構わんが、症状やら発症時期を聞きたいだけだ」
「左様ですか、では……」
アルフレッドが語るには、その奇病は人間には治せる技術がないものらしい。
心臓の機能が徐々に低下し、最終的には眠るように死に至るという。
また医師から宣告された余命もとっくに過ぎているという。
「お嬢様は…、いつもはベッドでじっとしていなければ、生きているだけで苦しむような病気を患っているのでございます」
「だろうな、寿命があと三日ってのも不思議なくらいだ」
「悪魔には寿命が分かるのでございますか」
「まぁな」
人間に治せない病気も魔力を利用すれば、治すことは出来ずとも中和することくらいはできる。
「奴はどうしてもあと一週間は生きねばならんらしいからな」
「一週間?何のことですかな?」
「きっと、その時分かるさ」
そう言ってルインは去っていった。