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類人猿人類
類人猿人類
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魔王と勇者の研究室

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少女の願いと純情派魔王 後編


 部屋の扉をノックする音が響き渡る。
「お嬢様!お嬢様!どうなさいましたか!妙な音が!」
召喚の際になった轟音を聞きつけて、召使がやってきた。
「アルフレッド、問題ないわ、物を落としただけよ」
「そんな軽い音ではなかったような気もしますが…、無事ならよろしゅうございます」
アルフレッド・メイヤー、老いた召使である。
シオンの両親が亡くなってからというもの他の使用人は辞めてしまったが、この人だけはブライト家に大恩があるからと、今でも仕えてくれている。

「おや?その方はどなたですかな?」
アルフレッドがルインに気付く、というより大男のルインに気付かない訳は無かった。
「それにその角……、悪魔ですかな」
「いかにも、俺はコイツに」
「散歩してたら森で出会ったのよ」
ルインが自ら説明する前に、シオンが遮る。
「捨て猫じゃあないんですから、いけませんよ、牙を剥くやもしれません」
「大丈夫よ、彼はそんな野蛮じゃないわ」
どうしてもルインを森で拾ってきた設定にしたいようだ、無理があるだろうに。
「仕方ありませんな、お嬢様は頑固でいけませんな……」
そう言うとアルフレッドは部屋から出て行った。

「何で俺ほどの高貴な悪魔がその辺の森で拾われた事にされねばならぬ」
「あうぅ…、ごめんなさい、隠さなくてはならなくてですねぇ」
聞くとブライト家は富豪であると共に、政府に信用された名家でもあったため、禁書の保管なども行っていたという。
それ故に、今回の召喚が可能だった訳だが、ブライト家に恩のあるアルフレッドに今の当主であるシオンが禁書を悪用していた、なんて事を伝えるわけにはいかなかったのだ。
「事情は理解したが、一つ分からんことがある」
「何でしょう?」
「何故貴様はたった四日だけ寿命を延ばすのだ」
ルインにとっては興味本位でしかないが、呼び出された理由を聞いておかねばムシャクシャするばかりだ。
「ああ、実はもうすぐですね……」
作品名:魔王と勇者の研究室 作家名:類人猿人類