リコーダーが吹けない(零的随想録1)
チョコレートケーキ
僕は甘いものが大好きである。昔はそのような男は馬鹿にされる傾向があったようで、僕なんかもよくからかわれていた記憶がある。
だが今は、『スイーツ系男子』なる用語が生まれ、むしろ甘いものを好まない他の男子より好かれるらしいということをニュースかなんかで聞きつけ、とてもいい傾向だと思っている(健康のことを度外視していっていますよ。あと、甘いものが好きだろうがやはり非モテであることに変わりはないので、はっきりいってどうでもいいはずの話です。甘いものが好きでない男子を敵に回すつもりもありません)。そんな中で僕が好きなのが、チョコレートケーキである(ガト―ショコラだのカカオなんたらの類のやつがケーキ屋のショーウィンドーの中にあるでしょ?)。色も味も含め、「チョコレートのケーキ」というよりは「ケーキっぽい口当たりのチョコレート」と言った方が表現に会う気がする。
男性にとって、この甘さ(チョコレートを製造する過程でくわえられる砂糖と、カカオの味が混ざった味)は最高に高すぎるハードル(食べるのに)のはずであり(事実チョコレートの類は男性の多くにとってはあまり好まれないらしい。バレンタインのチョコレートしか食べないという人も多いという)、それが好きな僕は相当の甘党である事にただ一点の疑う余地もない。砂糖とカカオの塊といっていいほどのそれは、甘いものが少しでも苦手な人ならまず口に入れないような代物である。元来チョコレートは、苦かった。薬として用いられ、とても高いものだった。しかし今の社会でチョコレートと言ったらそれは間違いなくミルクチョコレートを指すのであって、ビターチョコレートを指すことはない。ついでに少し余談をしておく。インド人は辛いものが好きなことで知られている(カレーとかね)が、実は日本人の僕らにはとてつもなく想像ができないような甘さのチョコレートやアイスが好きなんだそうである。もうひとつ、試験を控えている人はチョコレートを食べると脳が活性化していい成績を収めやすいということも言っておく。これはチョコレート擁護派として自然に頭に浮かんだ記憶である。本当のことだから疑うならば調べてみてはどうだろうか。
ここからがシリアスな話題になる。読者の皆さんはブドウ糖果糖液糖を知っているだろうか。3つの物質を並べただけのような名前だが、実際はただ一つの物質の名称がこんなに長いのだ。(正式に栄養学に沿って言うと果糖ブドウ糖液糖という。通称と正式名称の違いはどっちが先かということに尽きる。だがこの道の専門家でない僕は、ひっくり返しただけじゃんという批判に、答えることはできないので、専門家の方を当たってもらいたい。)糖というからには、それは甘い物質である。
さて、あなたの内のペットボトルのジュースの成分表示を参照していただこう。そこにはおそらくブドウ糖果糖液糖(もしくは果糖ブドウ糖液糖)と書かれているはずだ。(ただし果汁100%のものにはないかもしれない。50%にも微妙だ)こいつが入っているのは、果汁0〜20%のジュースである。逆にそれらには確実に入っているに違いない。よくよく考えてほしい。リンゴ果汁20%ジュースを自分で作る事を。まずうすい味になる。リンゴといわれて「そうかもしんない」と思うくらいの、ほんの少し味がするほどのジュースになるだろう。0%ジュースなんて、ただの水だ。
しかしペットボトルのジュースは薄いとは思われない。というより、ぬるくなると、濃すぎるとさえ思うくらいだ(甘さは温度が上がるのに比例して濃くなる。冬にホットレモンでも飲んで、夏にC.C.Lemonを飲めばわかるはずだ)。何故だろう。
分かると思うが、こいつ(ブドウ糖果糖液糖)のせいだ。
こいつが水以外にたくさん入っている。そのままではのメタ代物ではないが、味を甘味料やなんだの(詳しく知りたい人は、安部司氏の「食品の裏側―みんな大好きな食品添加物」(2005)を参照)といった物で整えると、すっきりした甘みが出る。
ペットボトル依存症が巷で騒がれるが、それはこいつがほとんど引き起こしているようなものだ。すっきりしているから何本飲もうとも苦しいと感じないのだ。糖尿病うんぬん以前に虫場建設株式会社が設立されないか心配しなくてはならない。
何故少量で事足りる(というか、たくさん入れすぎるとねっとりする)砂糖ではなく、こいつを入れるのか。
さっきの話だ。大人も子供も、こってりした甘みより、すっきりした甘さが好きなのである。
そうであるとメーカーにも都合がいい。砂糖の商品なら飲みきる前に苦しくなるが、こいつなら苦しくないので、たくさん飲むことになる。それは大量消費と、利益につながるというわけだ。
チョコレートケーキの甘みがうまいと思う人は減ってしまうのか。個人的には、おいしいと思うのだが、残念だなあ。
作品名:リコーダーが吹けない(零的随想録1) 作家名:フレンドボーイ42