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誕生日って幸せな日?

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瑞希「あぁ、じゃあーな。また暇できたら来るぜ。」

ナレーター1「瑞希は来た時よりも少し元気を取り戻して帰って行った。この帰り道で一番瑞希が気になっていたのは『犯人』だった。しかし、それをあえて今聞かなかったのは瑞希の優しさでもあった。」



場面がかわる

瑞希が居間に入ってくる
居間には美穂、ゆりがテーブルを囲んでご飯を食べている

ゆり「おかえり~」

美穂「おかえり~瑞希にぃ、ご飯食べるでしょ?」

瑞希「おう、悪いな、美穂。」

ゆり「今日は家出しないの?」

瑞希「うるせぇぞ、ゆり。俺は理由なしに家出してるわけじゃねぇんだぞ。男の行動にはいつだって理由(わけ)があるもんなんだよ。ゆりにはわかんないよな。」

ゆり「よくわかんないけど、なんかかっこいいかも!」

美穂「全然、かっこよくない。こんな高校生になっちゃダメだよ、ゆり。」

瑞希「美穂にストレートに言われるとグサッと刺さるね~。」


瑞希が腰掛ける
急に電話が来る
プルルルルルプルルルルル

美穂「ゆり出て。」

ゆりが返事をし、電話をとる

ゆり「はい、もしもし。佐藤です。」

ゆりは相手の話を聞き、電話から耳を離す

ゆり「瑞希にぃ、電話だよ。担任の先生から。」

瑞希「あ?俺か?」

ゆり「瑞希にぃなんか悪いことしたんじゃないの?」

瑞希「んなわけねぇだろう!」

瑞希が電話に出る
「あぁ」しか言わない瑞希
その時、健が帰ってくる

健「ただいま。」

美穂「おかえり。」

瑞希が電話を切らずに受話器を捨て、家を飛び出してく
みんなが不思議がる

健「なんだ?あいつ。」

ゆり「怒られたんじゃない?」

健は受話器を取り、相手に謝っている様子

健「はい。兄の健です。弟が失礼しました。」

健が何があったのかを説明され、そして謝る

健「それでは、失礼します。」

健が電話を切る

美穂「瑞希にぃ、なんかしたの?」

ゆり「悪いこと?」

健「いや、瑞希は悪くないんだが・・・。」

美穂「なになに?」

健「瑞希のクラスの彰君がさきほど亡くなったそうだ。」

ゆり「え?」

美穂「それは残念だね。仲のいい友達だったのかな?」

健「みたいだな。それで先生がお電話くださったみたいなんだ。」

ゆり「その人、病気だったの?」

健「どうも違うみたいなんだ。自殺だそうだ・・・。」

美穂「健にぃ、もうやめて。ゆりはまだ小学生なんだから。」

ゆり「自殺って自分で死んじゃうことでしょ?」

美穂「はい、この話終わり!」

健「俺、瑞希探してくるわ。飯はあとでいい。」

健は急いで瑞希を追いかけて家を出る


場面がかわる


雨が降りしきる中、健が瑞希に追いつく
2人とも傘は持っていない

健「おい待てよ!瑞希!」

瑞希の肩を後ろから掴む

瑞希「なんだよ、兄貴・・・。」

健「お前、なんにもしてないよな?」

瑞希「俺のせいだ・・・。俺があいつを殺したんだよ。」

ナレーター1「瑞希の涙は雨でごまかされたが、顔がくしゃくしゃになったまま膝から崩れ落ちた。」

健「お前、最期に彰君と話したらしいな。」

瑞希「あぁ。彰、あいつ俺には明るく接しやがった。目が見えないこと隠してよ・・・。」

健「お前は何もしてないんだろ?」

瑞希「あいつを追い詰めたのは俺だ。」

健「お前には何もできなかったんじゃないのか。」

瑞希「あいつ、俺が帰るとき『さようなら』って言ったんだ。『さようなら。』って言ったんだよ!それなのに俺は何も気づいてやれなかった。あいつにはいつも世話になってばっかりだったのによ、俺あいつのために何もできなかったよ。」

ナレーター2「瑞希は泣き叫んだ。健はこれまでこれほどに泣く瑞希を見たことがなかった。何も声をかけてやれなかった。それが、悔しく無力だった。雨が止んでその後、ずぶ濡れの2人は家に帰った。」

ナレーター1「次の日から瑞希はこれまでと変わらずに学校に通った。そこでは誰も瑞希に話しかけることはなかった。瑞希は学校内では『殺人犯の一味』だった。『一味』それは聞き間違いではなかった。何人かが彰をボコボコにしてそのあとに瑞希が止めを刺した、そんな噂だった。瑞希はそれを耳にして、周りに聞きまわり『自分以外の犯人』を探した。しかし、瑞希は自分が『犯人の一味』であることを否定はしなかった。」

ナレーター2「2年のある男、そいつが中心だった。親は街では知らない人のいない大きなヤクザの組の頭だった。それは学校でも誰もが知っていることであり、皆が怖がっていた。教師さえ同様に。
瑞希はそいつを監視し、放課後は度々あとをつけた。そいつがどんなやつで、本当に彰に手をかけたやつなのか。真実を知りたかった。そいつはいつも周りに3、4人連れて歩く
バレないようについていくだけでもたいへんだった。
ある日の放課後、瑞希はいつものようにそいつのあとをつけた。たまり場は親の事務所、その日も近くで張り込んだ。中は見えなかったが、中にいるであろう感じはしていた。」

後ろから瑞希が話しかけられた

男「なにしてんだよ?」

瑞希は話しかけられた男の方を見ずに答えた

瑞希「んあ?うるせーな、ちょっと張り込みだよ。」

男「誰を張り込んでるのさ?」

瑞希「誰だっていいだろ。」

男「それってもしかして僕かな?」

瑞希はその男の方を見た
その男は紛れもない、瑞希がつけていた「はず」の男だった

瑞希「お前、なんで・・・」

男「佐藤瑞希君だよね?よろしく。僕は阿部隼人。握手でもしようか?」

隼人が握手をしようとしたが、瑞希は拒んだ

瑞希「やめろ、・・・なんでお前、こんなとこにいんだよ?」

隼人「だって、瑞希君わかりやすいんだもん。つけてくるならもっと『うまく』つけてよ。」

ナレーター1「隼人は明らかに普通ではなかった。目はキョロキョロ、また表情は少し笑っているように見えた。」

隼人「僕に質問があるんでしょ?」

瑞希はそれに答えられなかった
隼人は一人で話を進めていく

隼人「面白い話するよ。この前、僕ある人にぶつかられたんだ。彰君って人に。知ってるよね?君の友達らしいもんね?その時ね、僕すっごく機嫌悪くてボッコボコにしちゃったんだ。それで彰君は入院したんだってさ。」

瑞希は拳を強くこらえた

瑞希「お前、それほんとに言ってんのか?」

隼人は瑞希をさらに怒らせる

隼人「ん~予想通りの反応。面白い。それで、話戻すけど彰君はその後自殺したらしいね。それからすぐに君が僕をつけてきたんだ。つまり、君は僕のことを、あの時のことを、知りたかったんだよね?今全部教えたよ?さぁ、どうする?僕を殺す?」

瑞希「お前、ふざけたことぬかしてんじゃねーぞ。俺はお前を殺す。あいつのために。」

瑞希は隼人の胸ぐらをつかみ殴ろうとする

隼人「3年にいる健君って君のお兄さんなんだってね?」

瑞希「それがどうした?兄貴はお前らになんて負けねぇぞ、強いぞ。俺だって勝てねえからな。」

隼人「じゃあ、妹の美咲ちゃんはどうだろう?」

瑞希「お前。ふぜけんなよ。」
作品名:誕生日って幸せな日? 作家名:しょう