連載小説「六連星(むつらぼし)」第46話~50話
連載小説「六連星(むつらぼし)」第47話
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響が乗車をした東北新幹線は、
13時13分、仙台駅始発の上り「やまびこ」216号だ。
福島へは13時36分着。両毛線に乗り換える栃木県小山駅への到着は、
15時ちょうどの予定になっている。
「ほぅら、ごらんなさい。
やっぱり栃木県は北関東のど田舎でしょう。
最速の『はやて』が停まらないというのは、田舎駅の証です。
ほほほ・・・・ごめんなさいね、響ちゃん。
でもねぇ、ここでお別れかと思うと、ちょっぴり私も寂しいわ。
ねぇ、また松島へ遊びに来て頂戴。
せっかく知り合えたというのに、さっさと帰っちゃうんだもの。
金髪君と伯父さんも、そのうちに秋田へ帰るというし・・・
ひとり残された私が、また寂しくなります。
じゃあね響ちゃん。気をつけて帰ってね。
いやだわぁ。愚痴ばっかり、勝手にこぼしているうちに、
もう、涙が出てきちゃった・・・・」
浩子は最後まで、賑やかだ。
金髪の英治と伯父さんに別れを告げて、響が帰りの旅路につく。
(もう少し私に『ときめきの心』が有ったら、英治と私は恋に落ちたかもしれない・・
でも、私にはまだ、そんな余裕はどこにもないわ。
女として、不完全なのかしらねぇ、あたしって・・・)
土産にもらった英治のノートパソコンに触れながら、響がポツリとつぶやく。
作品名:連載小説「六連星(むつらぼし)」第46話~50話 作家名:落合順平