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連載小説「六連星(むつらぼし)」第46話~50話

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連載小説「六連星(むつらぼし)」第50話
「ふたたびの被災地へ」

 「ここからが、被災地を走る常磐線だ。
 北へ向かう列車は、あの日、津波が襲った海岸線に沿って走り抜けていく。
 ということは、私はもう一度、被災地へ逆戻りをしていくことなる。
 私の胸の中では、好奇心と探究心が頭をもちあげはじめています。
 こういうことが、性に合っているとでもいうのかしら・・・・
 怖い想いは有るというのに、どこかで『何か』が、わくわくと期待している。
 さぁて。この先で私を待っているのものは、いったい何なのでしょう」

 
 JR常磐線(じょうばんせん)は、日本の首都・東京から
千葉県北西部の松戸、茨城県の水戸、いわきといった東関東の都市を
経由しながら、宮城県までひたすら北上していく。
内陸部を縦走していく東北本線と比べ、海岸部を走るこの常磐線は
東日本大震災で、きわめて大きな被害を受けた。

 損傷の大きさは、いまだに深刻なままだ。
震災から一年が経過した今でも、至る所に傷跡がそのまま残っている。
広野~原ノ町と、相馬~亘理駅間の運転は、いまだに回復していない。
相馬~亘理駅の間は、バスによる代行輸送が続いている。
運転されている列車の本数も、通常よりも大幅に減らされたままだ。


 さらに原ノ町~広野駅間は、立ち入り禁止が続く警戒区域内にあたるため、
線路は錆びついたまま、復旧の見込みすら立っていない。