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華鏡(はなかがみ)~鎌倉のおんなたち・時代ロマン小説連作集~

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 背中に逞しい腕が回り、いっそう強く抱きしめられた。そのまま抱きあげられ、どこかに運ばれてゆく。何かやわからなものの上に降ろされたかと思うと、すかさずのしかかられた。
 夜着の帯が解かれた。襟元が開き、纏っていた夜着を剥ぎ取られる。夜着の下には何も身につけてはいない。豊満な乳房が零れ落ち、誘うように波打っている。
 惟章の息が荒くなり、貪るように口づけてきた。口づけが深くなるにつれて、惟章の手の動きも荒々しく容赦なくなっていった。離れた唇から銀色の糸を引く唾液が滴り落ちている。濡れた惟章の唇は紅く艶やかなスグリの実のようだ。
 彼がペロリと唇を舐める様さえ、凄く淫猥に見える。彼は唾液に濡れたままの唇で瑶子の胸の突起を含み、クチュクチュと吸った。
―あっ、ああっ。
 ざらざらとした舌が紅い朱鷺色の胸の飾りを吸い立て、転がし弾く。胸を揉まれ吸われただけで、瑶子は彼にさんざん啼かされた。
 やがて、乳房を堪能した唇は更に貪欲に瑶子の身体中を探険してゆく。首筋、鎖骨から胸の谷間、臍の回り、すんなりした腰から豊かな臀部、太腿へとあらゆる未知の場所をさ迷い、所有の印である紅い口づけの跡を刻み込んでゆく。
 直に瑶子の白い身体には無数の紅い吸い跡が花びらのように散った。
―脚を開いてごらん。
 惟章が優しく言い、瑶子は素直に両脚を開いた。でも、やはり恥ずかしい。閉じようとすると、すかさず惟章の手がそれを押しとどめた。
―隠さなくて良い。私のものになるのだろう?
 瑶子は恥じらいながらも頷いた。
―初めてだから痛くないようにしないとね。
 瑶子は惟章の笑顔を見つめた。彼のこんな優しい表情を見たのは久しぶりだ。そう、ずっと昔、瑶子と頼経の婚約が決まるまでは惟章もよくこんな風に優しく笑っていたのだ。
 笑顔に気を取られている中に、男がいきなり蜜口に指を挿入してきた。
―何を?
 不安が目尻に涙を押し上げた。惟章は瑶子の眼許にそっと口づけ、唇で涙を吸い取る。
―怖がらないで良い。瑶子のいやなことはしないから。
 続けて指は三本に増えた。数本の指が蜜口から入り込み、まだ閉じたままの襞をかき分ける。狭い隘路を骨太の指がすり立てる。最初は異物感と痛みしか感じられなかったのに、次第にその中にもっと違う別のものが混じり始めた頃、下腹部からトロリとした蜜が溢れ始めた。
―濡れてきたかな?
 瑶子は大きな眼を見開いた。惟章がきょとんとした瑶子の顔を見て含み笑い、誘うように揺れる乳房の先端にチュッと口づける。
―あっ。
 思わず身体がしなり、瑶子ははしたない声を出したのを恥じるかのように両手で口を覆った。
―もっと濡れた方が良い。瑶子は初めてなのだから、できるだけ痛くない方が良いだろう?
 次の瞬間、隘路の奥、ひときわ敏感な膣壁を指がこすった。
―あ? ぁああっ。
 あまりの衝撃に瞼が白くなり閃光が弾けた。だが、惟章は何故かそこばかり執拗に弄ってくる。瑶子は涙を浮かべて訴えた。
―そこはいや、そこは触らないで。
 意地悪な指先は余計に同じ箇所ばかり責め立ててくる。
―いや、そこは駄目。
―何故?
 男の欲情に濡れた声が問いかけてきて、瑶子は啼きながら首を振る。
―おかしくなるから、何か変になりそうなの。
―別におかしくなんかないさ。変にはならない。
 何かがせり上がってくる。惟章の愛撫によって身体の内に溜まった熱が弾けそうだ。与えられる愛撫がもたらすものに痛みはなく、むしろ快感ばかりであることは最早、明白だ。だが、過ぎたる快感は苦痛でしかない。
 瑶子は感じやすい内壁ばかりを執拗に責め立てられ、その合間には胸を吸われ揉まれ、快楽地獄の中で身を揉んで喘いだ。
―あっ、も、もう―。
 駄目と言いかけた言葉は烈しい口づけに飲み込まれた。ピクピクと身体が跳ね、男の指を数本奥まで飲み込まされた蜜壺が烈しく収縮する。
―凄く締め上げてる。良い子だ。
 優しく髪を撫でてくれた。―と、瑶子はハッとした。この手の感触は。眼を見開くと、互いの呼吸が聞こえそうなほど間近に頼経の整った面がある。
「頼経さま?」
 瑶子は大きな瞳をまたたかせた。これは、どういうことだろう? 私はどうして、こんな―。そこで瑶子は自分がどんなあられもない姿なのかを改めて知った。着ていたはずの夜着はなく、全裸を頼経の前で晒しているなんて。
「私、どうして?」
 狼狽えて身を起こそうとすると、すかさず上から押さえ込まれた。
「そなたが私に抱いてとねだったのだぞ?」
「え?」
 混乱した頭で懸命に思い出そうしても、思い出せない。ふいに人差し指で乳首を弾かれた。痺れるような快感が乳首から走り、瑶子は声を上げた。
「あっ」
 涙が溢れた。
「そんなところ、触らないで」
「自分から私を誘っておいた癖に」
 どこか冷たさを感じる声に、瑶子は衝撃を受け愕然とする。優しい頼経の言葉とは思えない。突如として瑶子の脳裡に閃くものがあった。
 そうだ、私はいつもの怖い夢を見ているはずだった。なのに今夜に限って、惟章は哀しげな顔で見つめてきて、私はそんな彼に一緒に連れていけないのなら抱いてとせがんだ―。
 では、夢の中で自分を抱いていたのは頼経だったのか。蒼白になった瑶子を頼経が冷たい眼で見下ろしていた。
「そなたは私を誰かと勘違いしていたようだな。私も最初はそれを利用するような卑怯な真似はできないと思った。だが、瑶子、そなたは私の妻なのだぞ、心で想うことまでを止めよとは言わぬが、たとえ夢の中とはいえ、別の男に身を任せようとするとは許し難い」
「御所さま、それは」
 言いかけた瑶子の唇を塞ぎ、呼吸も奪うような烈しい口づけが仕掛けられた。
「もしこれが夢の中でなく現のことであったとしても、そなたは惟章に抱いてとねだったのか!?」
 怖い、頼経さまが怒っている。瑶子は怯えた。現実の出来事であったらなんて言われても、それは判らない。夢の中だということは、はっきり自覚していた。
 怯える瑶子には頓着せず、頼経は瑶子の片足を持ち上げ自分の肩に担いだ。何か固いものが当たっている。瑶子が怖ろしい予感に身を退こうとしたその瞬間、雄々しく屹立した先端が瑶子の蜜口を貫いた。
「―っ、痛っ」
 あまりの衝撃と痛みに意識が飛びそうになる。すぼまろとする蜜口を剛直が押し開き、徐々に隘路を貫いていく。それでも頼経はそれ以上、強引に進んではこず、瑶子が泣いて痛がれば髪を優しく撫で、そこでしばらく止まった。
 やがて、身体を真っ二つに裂かれるような痛みは消えて、少しずつ胸を吸われたときに感じるような気持ち良さが混じり始めた頃、頼経が大きな息をついた。
「これで全部挿入った」
 本当ならひと息で入りたかったのだが、未通の瑶子のことを思いやってくれたのだ。頼経の額にも汗が浮いていた。
「痛みは治まったか?」
 気遣うように問われ、瑶子は小さく頷く。本当はまだ痛かったけれど、頼経の額の汗を見れば、彼がどれだけ抑えているかは判る。だから、自分は大丈夫だと伝えたかった。
 頼経の面に何とも艶麗な微笑が浮かび上がった。
「それなら動くぞ」