kyoko
「実はね、さっきお店に暴力団風の男たちがやってきたみたいなの。お店にある写真を指差して『この娘は今どこにいる?』って。店長はここの住所を言わなかったみたいだけど、そいつらが持っていた写真は私そっくりだって言うのよ」
「まさか……。その男たちって」
「そう、ひょっとして私を探しに来た関西の男たちかもしれないの。大阪弁を話している男もいたみたいだから」
俯いた彼女の表情は照明の蔭になって分からなかったが、少し顔色が青ざめているようにも見えた。
その時、再び電話が鳴った。着信音が違うということはメールだろうか。携帯を取り上げた杏子さんの顔が驚きと困惑の色に染まって行く。
「これ……」
震える手で僕に見せた画面には、短い文章が打たれていた。その差出人は理絵さんだ。
【つかまってる てんちょうさされた にげて】
僕たちは、その文面にただならぬ気配を感じて顔を見合わせた。