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僕の細道

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序章 ⑤ ヒッチハイカー


高速で一路東京へ

眠気覚ましの話し相手にちょうどいいやと思い、
浜名湖ICでヒッチハイクのお兄ちゃんを一人拾った。…はいいけど

30時間近く待ったらしく、即寝爆睡!
話し相手どころではない

死体運んでるようなもんだわなぁ~
仕方ねえや、東京まで運んでやるか (笑)

このお兄さん 、1時間ほどしたらはたと目覚めモゾモゾし始める
聞くと、ここ数日まともに飯を食ってないらしい
近くのインターで好きなだけ飯食わしたら
ボソボソと成り行きをしゃべる始めた。

なんでも、年は20才でフリーター、埼玉で実家暮らし
長崎のハウステンボスへ行ったらしく
その帰りに財布ごとパクられちゃって一文無し、カードもなし
仕方なくヒッチハイクで千葉まで帰ることにしたらしい

ここまで5日かかっているとか
あまりに臭いので足柄インターの風呂まで連れて行くことにした。

道すがら妙に元気になり
「僕は『ラウンドワン』のマニアなんです」と言い始めた。

実は長崎からの帰り路は、まだ制覇していな各地の店を巡る予定だったらしい
「スポッチャ」?がどうとかで「太鼓の達人」にハマっているらしく
一晩中やり続けても飽きないらしい、もう一息で100万点越えだとか・・・

はたまた、ラウンドワンの資本金・店舗数・株価までご存知で
面接の方法・どこの店のMCがどうとか、どの店にどんなゲームがあるとか、
国内の111店舗中40店舗は行った、云々

オイラには全く意味不明で、唖然として聞き入っていた。
足柄インターまで異常に熱く語っていたのは
彼なりのサービスなのかもしれない

風呂屋まで連れて行き、幾ばくかの小遣いを渡し別れた。
若い時の恩返しである。オイラにも逆の経験がある。

一見、全くのポヤランの兄ちゃんであったが
彼の一途な思いに唖然としながらも妙に感心した。

オイラの二十歳頃に比べれば。。。絶対書けないが(笑)
彼には狡さやワルイ匂いがしなかった。
先行き不透明で多様な時代である
何がどう転がるかはわからない。

最後に彼は「タナカジュン」と名乗った。

彼が去った車内には、しばらくの間
青春の汗の香りが漂っていた。
若いということはそれだけで大変である。
ご苦労さん、適当に頑張りな!

なぜか、オイラの頭の奥で「8月の濡れた砂」が、、、
石川セリの気だるい声が遠くで聴こえている。

「♫あの夏の日の光と影はどこへ行ってしまったの…」

もうすぐわが町東京だ!

ちなみに井上陽水のヨメ

無精

作品名:僕の細道 作家名:酔生夢死