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アイプチ王子

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同じ職場のスタッフなら、何ヶ月も働けばだいたいの嗜好、趣味、好きな話し
などなど、結構見えてくるから交流にそこまで困ることはありません。

ただ、週に1回、月に1回くらい来て、
ちょっとだけ接するお客さん・・

どうやって自然に業務以外の会話をすればいいのかと・・
最初は普通の「いらっしゃいませ」「○○円になります」「ありがとうございました」
っていう言葉を、心を込めて言う・・(笑)
なんてことくらいしか出来ませんでした。

そんな中、

同期のスタッフたちはどんどんお客さんと笑い話しをしたり、
友だちじゃないと話せないようなテーマの話も普通にしていたり・・
完全、鈴木は置いて行かれている感があったのです。

うおっ、やっぱりナチュラルリア充はポテンシャルが違う・・!!
「高校卒業して、やっと一般人レベルになった俺の限界は、ここまでなのか・・」グフッ
じわじわとそんな事を感じ始めていたのです・・

ただ、鈴木にも一応、意地がある。このままで終わらすわけにはいきません。

とはいえ、やっぱりなかなか話ができず、

他の人の話を聞いて「おおー」とか「へぇー」とか言って
笑顔でその場にいることしか出来ませんでした(汗)

そんな中、バイトが終わって、近くのデパートに
フラッと立ち寄った際、いつもお店に来てくれる常連のお客さんが
バイトしていることに気が付きました。

「これは・・!」と思いました。

あのお客さんが気た時に自然な話題を出せるんじゃないか?と考えたんですね。

で、その1週間後くらい・・そのお客さんが来たので、
鈴木はとりあえずいつもの定型文で接客した後、

「そういえば、あのデパートで見ましたよー。働いているんですねー」

みたいなことを言いました。
(テンパってたので詳しくは覚えてません笑)

相手は、普通に「そうなんですよー」みたいなことを言ってくれましたが、
その後、話は続かず・・汗
結局、あまり変わりありませんでした(笑)

ちなみにその時鈴木は手がメッチャ震えていました。「中学生の告白か!」と
心の中で突っ込んでいましたが、お客さんに話しかけるのが
これほど緊張することとは、と思ったのを覚えています。

レジで横にいたスタッフの女の子も鈴木がメッチャ緊張しているのを
察知しているようでした(笑)

スタッフには普通に話しかけられるのに、なんでお客さんという、ちょっとだけ
離れた存在になると、普通に話しかけるのでも緊張するんだろう・・??

そっから考えて、原因を見つけて、対策しないと、
常連のお客さんが来る度に鈴木は孤立してしまう・・!!
このままじゃやばい・・!!

店長始め、周りのスタッフもどんどん
話をするお客さんの数を増やしていっているので、

居場所がどんどん少なくなっていく感覚でした。

何処を見渡しても、敵地、敵地。
自分の領地がどんどん少なくなっていく感覚です。

一からお客さんと仲良くなっていくのはまずは手の震えを押さえて・・
から始めるレベルなのでたぶん1,2年はかかるし、
ヘタしたら一向に仲良くなれないかも・・
そう思った鈴木はとりあえず他のやり方でやるしか無い・・と思いました。

その方法とは・・!?

すでに店員と仲良く話している常連さんとの会話に混ぜてもらう
ということでした。

人見知りがちょっと強いので、そうしてくれると助かります・・
そんな感じでスタッフに伝えておき、

自然と話しに混ぜてもらって、少しづつ、その輪の中へ入っていく・・

鈴木にはこの手しかありませんでした。

結果は、というと、半年も経った時には気づいたら、常連さんだらけになっていて、
普通に話せるお客さんばっかりになっていたんですね。

初対面の人=5割くらいだったのが、3割2割1割とどんどん減っていき、
徐々にお客さんは常連になるので、接客に心理ハードルを感じることが
少なくなっていったんです。

それでも、初めて来る人も当然、日々訪れるわけで。
1年が経った頃には、自然と話しが出来るようになっていました。

おそらくそれは、ちょっとした心の問題だと思うのですが、

例えば、5人でお話をしていて、そのうち4人が自分の知っている人だと、
会話にあまり緊張することはないですよね?

でも、5人中、知らない人が4人いたら、ちょっと圧迫感や、緊張感を
感じるんじゃないでしょうか?

つまりは、ホームに近いほど、会話はしやすいし、
アウェイっぽいほど、話がしずらくなる感覚です。

で、1年が経った頃にはバイト先がほぼ「ホームっぽく」なったんですね。
なので、その場にいる人に話しかけるのが、かなり楽になったんです。

合コンで、知らない人ばかりだとすごく緊張するけど、
知っている人が2,3人いればかなり楽になるのと一緒です。

こんな感じで、とりあえずずっと人見知りだった人間でも
変わることは出来るってことを、実感することが出来たのです。

ただ、鈴木への試練はまだまだ、こんなもんでは終わりでは無かったのです・・
その後も、ナチュラルリア充にもまれる日々が繰り返されるのでした。


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・初対面に変化!?

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モテ男・モテ女の巣窟でバイトを始めて数年経った際、
モテ男の先輩に合コンに誘われました。

高校生の頃の、無駄に女子の友だちが多いイケメン友だちによる
数合わせのプチ合コンで、ちょっとしたトラウマを抱えていた鈴木。

今回はどう、乗り切ろう・・
そんなことばかりを考え、戦場へと向かっていくのでした。

ただ、実際始まってから
ちょっと自分には信じられないような状態だったのです。

最初、居酒屋で対面で並んでいる時に、なんか違和感がある・・
10分経っても、20分経っても、

なんか女子がすげーこっち見てる・・Σ(゚Д゚)

これはかなりの衝撃でした。

モテ男先輩も、合コンが終わって次の日のバイトで、
「女の子みんなお前のこと見てたなー」って言っていました。

とはいえ、ちょっとしたからくりがあったんですが、それは後でお話します。

この時、ある程度人見知りはなくなっていたので、
とりあえずマイナスじゃないくらいのトークスキルはあったと思います(笑)

ただ、それでも普通に合コン慣れしている人や

モテ男に比べたら、全然、って感じです。

これがアイプチをする前の鈴木だったらおそらく、

相当なるトークスキルがないと、興味を持たれなかったと思いますし、

相当、話のハードルが上がったと思うんですよね。

それでも、ちょっと印象が良くなると、
たいして話がうまくなくても、ある程度のコミュニケーションさえできれば、
普通に相手は興味を持ってくれるってことがわかりました。

この時は結局、鈴木が一番いい思いをさせてもらってしまったのですが、
それは、例のモテ男先輩がちょいちょい、フォローしてくれているから
ってことに気づいていました。

最初の印象は良くても、例えば鈴木の話がくそつまんなかったり、
全く気も使えず空気読まない感じだと、おそらく5分経った頃には
完全に興味を失われますよね(笑)
作品名:アイプチ王子 作家名:鈴木 裕