【創作】「rain」【BL】
程なくして、レインを襲った男が逮捕された。
研究室でその知らせを受けたレインは、安堵すると同時に、ルークがどことなく不機嫌な様子に気づく。
「ルーク、何か心配事でも?」
「ああ。他にも何人か捕まって、彼らの供述を照らし合わせた結果、研究施設を爆破する計画が判明した」
驚くレインに、ルークは手を振って、
「此処ではないし、手は打ってある。けれど、どうも罠ではないかという気がしてね」
「えっ・・・・・・つまり、囮、かな? そちらに注意を逸らして、別の施設を襲う、とか?」
レインが首を傾げて問うと、ルークに抱き寄せられた。
「ちょっ! 何!?」
「さすがエリスン博士。良く出来ました」
頬にキスされ、レインは身を竦める。
「もう、やめてください。僕も貴方のことを、ウィンドフォード少佐と呼びますよ?」
「それより、その話し方を止めて欲しい」
「え?」
「君の同僚に対しては、そんな言葉遣いをしないだろう?」
誰のことを言っているのか理解できなくて、レインは訝しげな顔でルークを見た。ここ数日、同僚達は遠巻きに顔を合わせるくらいで、言葉を交わしていない。
だが、輪の中に見たロバートの顔を思い出す。もしかして、いやでも、と逡巡していたら、ルークが苦笑を漏らし、
「分からないならいい。それより、今回の件で、私は他の現場に回されることになった。だから、君の警護は他の者が当たる」
「えっ・・・・・・あ、そう・・・・・・ですか。仕方ないですね」
寂しさが胸にこみ上げるけれど、こればかりはどうしようもないと、レインは自分に言い聞かせた。これ以上、ルークの立場を危うくしたくない。
自分のせいで、タリア嬢との結婚話を潰してしまったのだから。
「君が再度襲撃される危険性は薄いとの判断だ。それでも、行き帰りには私の部下が同行するよ」
「私のことより、貴方が心配です」
「大丈夫。その為の訓練だ」
でも、と言いかけたところで、ルークに抱きしめられる。
「大丈夫・・・・・・必ず君の元へ戻るよ、レイン」
囁き声とともに唇を塞がれ、レインはルークの腕に身を委ねた。
作品名:【創作】「rain」【BL】 作家名:シャオ