【創作】「rain」【BL】
「レイン!」
連絡を受けてショッピングセンターに急行したルークは、レインが通された事務室へと駆け込む。
ちょうどコーヒーを飲もうとしていたレインは、紙コップの向こうから目を丸くしていた。
「あっつ! あ、すいません、大丈夫です、すいません」
渡されたおしぼりで顔や手を拭いている相手に構わず、その腕を取る。上着の一部が切り裂かれているが、皮膚までは到達していないようだった。「エリスン博士に怪我はありません」と報告は受けているが、実際に確かめないと気が収まらない。
「大丈夫ですか? 怪我は?」
「服を掠めただけですから。驚いたけれど、今はもう大丈夫です」
顔色は多少青ざめているものの、微笑む顔は何時も通りで、ルークは胸をなで下ろした。
「それにしても、何故此処に? 朝のニュースは見なかったのですか?」
ルークの質問に、レインはきょとんとした顔をする。またか・・・・・・と内心溜息をついて、デモのルートがこの近辺に変更になったことを説明した。
「ニュースくらい、見てるかと思いました」
レインは首を竦め、「すみません」と返してくる。これ以上責めても仕方ないと、ルークは矛先を納めた。
防犯カメラの映像は、解析に回してある。遠目だが、警備員やレインの警護についていた隊員も目視しているので、直ぐに身元は割れるだろう。
「とにかく、今日はホテルに泊まってください。自宅に戻るのは危険です。私の車で送りますから」
「えっ、でも」
「レイン。これ以上、心配させないでください」
真剣に告げると、相手もしおらしく頷いた。
作品名:【創作】「rain」【BL】 作家名:シャオ