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連載小説「六連星(むつらぼし)」第41話 ~45話

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 「岩手。宮城。福島の3県につくられている海岸線の堤防は、
 総延長が、300キロを優に越えるそうです。
 6割にあたる190キロの堤防が、東日本大震災の津波のために
 全壊、もしくは半壊をしました。
 このあたりも大きな被害が出ましたが、津波が大暴れしたのは、
 地形が複雑な仙台湾の沿岸や、三陸海岸です。
 数十メートルの高さまで達したため、特に大きな被害を出しました」


 「津波で浸水した面積の合計は、400平方キロを越えたと言われている。
 東北沿岸部の平地はすべて襲われた、という計算になる。
 解りやすくいえば、山手線の内側の面積の6・4倍に当たる。
 神奈川県の、横浜市全域の広さに匹敵するそうだ」


 缶コーヒーを呑み終えた英治が、二人の会話に割り込んできた。
響と浩子の両肩の間に、ちゃっかりと顔をのぞかせる。
(近すぎるでしょう・・・・英治ったら)と、響が顔をしかめて見せる・・・・

 「美しいことで知られている三陸のリアス式海岸もふくめると、
 東日本大震災の被害海岸域は、1000キロを軽く超えるそうだ。
 今回の津波は、入り組んだ海岸の地形が、威力を増大させたと言われている。
 破壊された家々は、大量のがれきとなって海へ流れ、
 それらの多くが波打ち際に集まって、延々と海岸線を埋め尽くした。
 一部は、遠くアメリカの西海岸や、インド洋の彼方にまで
 塊になって流れていった、と言う話も有る」

 「あらまぁ。金髪さんは博識ですねぇ。すこしばかり見直しました」


 「いえいえ。受け売りです。
 伯父さんを探すために、パソコンであちこち検索をしているうちに
 たまたま見つけた、そんな情報ばかりです」

 「その伯父さんの居る、ひびき仮設住宅までは、あと少しになりました。
 では残ったお話などをすすめながら、目的地へ急ぎましょう。
 もうすこし、後ろで響さんをお借りしますので、
 今度は聞き耳などはたてないで、運転に専念をしてくださいな。
 ねぇ。博識の金髪くん」

 「了解しました、浩子さん。
 もう少しということですが、この先も一本道のままですか?」


 
 「金髪君に、華麗なテクニックを見せてもらいたいところですが、
 残念ながらこの道は、目的地まで直線で、一本道がどこまでも続きます。
 まっすぐ進んでいただければ、それだけで充分です。
 さてと、それではお話を元に戻しましょう。
 ええと・・・・お嬢ちゃんと、どこまでおしゃべりしたのかしら?」


 「避難所で負のスパイラルが始まった、と言う部分までお聞きしました」