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連載小説「六連星(むつらぼし)」第41話 ~45話

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連載小説「六連星(むつらぼし)」第43話  
「300キロを超える防潮堤」

 コンビニで冷えた缶コーヒーを買いこんできた響が、
道路を隔てた前方に、真っ青な海原があることにはじめて気がつく。
『う~ん』と腰に手を当て、気持ちよく、思い切り背伸びをする。

 「そんなに背伸びをしたって、お前さんの身長では、
 アメリカ大陸は見えないぜ」

 背後から英治が笑いかける。

 「ねぇ英治。海岸のところどころに
 黒いピラミッドのように堆積物が見えるけど、あれは一体何かしら」

 「大津波の後、このあたりの海岸を埋め尽くしていた
 がれきを、集積したものです。
 焼却処分がすすまないため、今もああして野ざらしの状態です」

 トイレから戻ってきた浩子が簡潔に答えてから、響の隣に並びぶ。
「あなたは、本当に、何にでも興味をもつ子ですねぇ。
まさに。全身が好奇心の塊のような女の子です。うふふ」
と眩しそうに響を見つめ、さらに言葉を続ける。