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弁護士に広げたかった大風呂敷

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16 最愛の女の即答



注文5つ
今からするから
つべこべ言わずに
「はい」と言え

先生をとなりに
座らせて
一方的に
切り出した

1 これ以上客を減らすな
2 金をたんまり用立てろ 

もちろん
これはご愛嬌だ
男がいきなり 
本心なんか
明かせるか

なのに先生は
唐変木で

「相も変わらず
金 金 金だ」と 
とたんに隣で
目をむくから

引っ込みも何も
つかなくなって
ええい ままよと
腹をくくった

3 信じてくれ
4 逃げ出すな
5 ずっと俺のそばにいろ
  俺に 力と元気が湧くように  

後にも先にも
あのときだけは
先生の目を
見られなかった
照れと捨て鉢
半々で

痛快だった
即答だった

「3・4・5番は簡単ね」

いくら何でも
間髪の
あまりのなさに
拍子抜けして

食堂の注文じゃ
ないんだぞと
嫌味のひとつも
出かかった

先生のあの声を
俺は墓まで
持っていく

たとえ先生が
どう選択し
どんな答えを
出そうとも

あの声だけは
俺は生涯
忘れない

最愛の女の即答だ

あの即答を
聞けたのが

携帯の録音の存在を
先生が知る前
だったからという
野暮な理由で
ないことを

俺はただ
神に祈る

先生 
宝物はもう
探し当てたか?