小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ワン! だ フル!~第1話~

INDEX|6ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

「これで思い出しましたか!?」
ナツの人間じゃない身体に驚くのに精一杯で、俺はナツとの出逢いを思い出せずにいた。
「思い出すもなにも…お前いったいなにもんだよ!?なんで耳やらしっぽが生えてんだよ~!?」
異常じゃない光景を見て、俺はパニックになっていた。
頬をつねってみたり、自分の顔を殴ったりと、「夢なら覚めてくれ」と祈るばかりだった。
何度やっても結果は同じで、現実とは思えない状況に俺はいた。

「私は人間の世界とは違う別の場所。強いて言うなら”犬国”と言うべきでしょうか。そこからやってきて、アナタのもとへやってきました」
ナツは俺が騒いでる中で、話を続けた。
「い、いぬこく?人間の世界と違う場所ぉ?なんだよそれ…」
「やっと話を聞いてくれるみたいですね」
ナツは驚く俺を差し置いて、また煙で「ボフン」ともとの姿(セーラー服の姿)に戻った。
「…今起こってる現実が理解できないだけだ」
正直話を聞くどころではなかったが、これが現実だと思わなきゃいけない。
俺はその事で、頭がいっぱいだった。

「私は幼き頃、アナタに救われた事がありました。”犬国”では”人間に救済された場合恩を返せ”と言う掟があります。私は今になってようやくアナタに、恩を返したいと思ってここまできました」
話の内容にはついていけなかったが、どうやら”恩返し”をしたい事は確かなようだ。
もっとも、あんな犬のような姿になれば、もはや詐欺のレベルを超えてる。
俺はようやく落ち着き、ナツの話も整理する事にした。

「救ったって…俺がキミを?」
「そうです!忘れもしないあの日!あの出来事!」
ナツは目をキラキラしながら、ニコッと笑いながら話した。
「私は柴犬の子犬で、幼き頃は”人国”に憧れを持ち、毎日のようにここへ遊びに来ていました!」
ナツは尻尾や耳を生やしながら、話を続けた。
「”人国”ではたくさんの人と出逢い、私の仲間と出逢いました。そんな中、私は川へ落ちてしまい溺れそうになってしまいました!」
ナツがそこまで言いかけて、俺はようやく思い出した。
「も…もしかして…お前、あの時の!?」
「はい!やっと、思い出してくれましたか?」